主体的な行動を起こすには、そのことに納得していることが必要だ。

マネージャーが部下に主体的な姿勢を求めるのであるなら、部下に「その仕事が意味あることだ」と思うように支援しているだろうかと自問することだ。

ここをすっ飛ばす人が結構多いのではないかと感じている。

もし部下の仕事がはかどっていなかったら、そのことを責めるのではなく、停滞している行動を取り上げて、その行動に納得感をもって、部下が取り組んでいるかを確かめることが必要だ。心の底で「これは私の所為ではない」と他人事になっているようであれば、それは部下が納得感をもって取り組んでいない証拠である。

私の上司が、件のマネージャにアドバイスを与えていた。「とことん話すこと。納得するまで話すこと」と。この上司も同じ経験を幾度となく繰り返して得た、信条なのであろう。シンプルだけど、それは真理なのだろうと私は思った

部下の納得感を確認するときこそ傾聴が必要だ。仕事がうまくいっていない部下の口は重い。出来ない言い訳ばかり並べて、自分の本当の気持ちを隠すだろう。こんな時は、「あなたは今、この事態にどう感じているんだ?」と尋ねてみる。怒り、混乱、恐れ、弱気、悲しみ。部下の感情はそのどれであるかを一緒に探る。怒りであれば、何故そう感じているのか、部下の思いを聴きだす。こうして感情を引き起こすホンネを引き出す。ホンネが分かれば、そこには納得感につながるヒントが隠されているものである。