本テーマで3回目の投稿となるので、ここでおさらいをします

(1)では、信頼関係のある当事者同士には好意的な感情があり、その感情によって親和的欲求が生まれることを話しました

(2)では好意的感情が現れる要因を5つ挙げました

今回は、本テーマの最終回として、対人関係の発展段階を示して、職場の人間関係を改善することができるかを話してみたいと思います

(出典)書籍「コミュニケーション力」(渡邊忠、渡辺美枝子)

対人関係の発展段階

信頼関係までに至るには下図のような発展段階があります

対人関係の発展段階

それぞれの段階について説明します

①出逢い

出逢いには偶然のものや人為的なものまで様々ありますが、なにかしらの共通項を介して繋がりを感じ、他の人とは違うとはっきり認める段階です

②関係探索

出逢いが好意的であると、より良く知りたいという親和的欲求が生まれ、より詳しい情報を得ようとする段階です

ここでは質問を交えた対話によっておこなわれます

お互いの属性と特性に共通項が発見されると好意的感情が現れ、心理的な距離が縮まります

共通項がなくても、自分にとって未知の属性や特性への好奇心によって、心理的な距離が縮まることもあります

③関係強化

お互いの属性や特性に類似性が認められると、より親近感が増し、仲間意識が芽生え、心理的安心感が得られます

心理的安心感の中では、本音を話す自己開示が行われ、そのことが相手に伝わると、相手も本音で話をするという相応性が見られるようになります

さらに関係が進むと、お互いの依存関係を確認する相補性が得られるようになります

自分の内面を出しても、馬鹿にされたり、裏切られたりしないという信頼感が発生し、「我々意識」が芽生えます

④関係公認

二人の間で関係強化が進むと、そのことは周囲の人たちにも二人の関係が認知されます

すると、当事者の一人にもう一人のことを尋ねられたり、相手に代わって代弁や判断をするようになります

職場で信頼関係を構築するためのコツ

職場の中で信頼関係を作りたければ、この対人関係の発展段階がヒントとなります

「①出逢い」では、職場のメンバーの間で、自己紹介をしたり、共通体験の感想を披露して、共通項を見つけられるような機会を作れば良いこととなります

「②関係探索」では、共通項を持つもの同士で集めて、質問を交えたフリーディスカッションをさせることで、親和的欲求、援助的欲求、依存的欲求を引き出すような機会を作ります

このような人為的な機会を職場の中に作れば、あとは当事者同士で「③関係強化」、「④関係公認」の段階に自然と進むようになります

最後に

自分の人生を振り返ってみると、信頼関係のある人とは、ここに書かれていることと似た体験をしていると思います

しかし、改めてその仕組みを知ることにより、人為的に信頼関係を築く働きかけを行うことができるとお気づきになったのではないでしょうか

楽しく働くことのできる職場には信頼関係があります

皆さんの職場で信頼関係の評価を行い、ここでご紹介したアプローチを手がけてみて下さい