サンクスカードからピアボーナス

風土改革の施策としてサンクスカードを使うことがあります

名刺の大きさのカードに、感謝のメッセージを記入し、相手に渡すものです

これにより社内のコミュニケーションを活性化させ、褒め合う文化を作ることで、モチベーションを上げたり、部門間の連携を強化させるというのが目的です

最近は、ピアボーナスといって、カードを使わない方法もあるようですね

パソコンやスマホのアプリを使って、相手を選んで、メッセージとともにポイントをつけるようです

ITを使っているので、ポイントを集計して、ランク付けしたり、素敵なメッセージに「いいね」を付けたり、サンクスカードではできないこともあるようです

冷え切った職場では使えない

メリットやデメリットについては、ネットで色々上げられているので、ここでは紹介しません

使っている職場の様子を見ていると、段々使われなくなり、一部の人たちだけがやっているか、ノルマを感じるようになって辞めてしまう、というところだと思います

そもそもこの仕組みは、冷え切った人間関係で成り立っている職場では無理があると思います

普段から社員同士のコミュニケーションが少なく、組織も縦割りで、社内のコミュニケーションはトップダウン、社員は言われたことしかやらないといった職場は、明らかに無理でしょう

こういう職場に無理矢理導入しても、サンクスカードを渡すことが次第にノルマと感じてしまうようになると思います

チップの文化が支えるピアボーナス

ピアボーナスは米国を中心に広がっているようですが、この制度が旨くいったのは、チップの文化が背景にあると思います

「各自の価値観でサービスを評価し、それに見合った報酬としてチップを払う」、「チップによる支払いは常識」、「かつてはチップで支えられた人がその恩返しにチップを払う」といったことが日常的に行われている社会であるからピアボーナスは馴染むのだと思います

そのような背景があることを考慮せずに、チップ制度のない日本国内の企業に導入して、同様の成果を求めるのは考慮の足りないことだと思います

このことを考えてもピアボーナスが上手く行かないのは自明ではないでしょうか

ピアボーナスが使えるところ

このようなことを考えると、ピアボーナスが使えるところは、社員同士がお互いに助け合うことが当たり前となっている職場ではないかと思います

その様な職場が、社員同士の信頼関係をさらに高めたいとか、サービス品質をより向上させたいというニーズに合わせてピアボーナスを導入するのが正しい使い方だと思います

なので、コミュニケーションのない職場を活性化させたいとか、助け合う文化を一から作りたいというところへの適用は効果が少ないでしょう