前回は、傾聴サロンが組織風土改革に生かされるに至った経緯についてお話ししました

組織風土改革の目的で始めた傾聴サロンですが、それ以外の用途に応用することができるのではないかと、回を重ねる毎に思うようになりました

ここでは、その可能性についてお話ししたいと思います

(1)ビジネス・コミュニケーションへの展開

傾聴技法は、メンタル不調者を応対するカウンセラーの技法として確立されたものですが、話し手の思いや考え方を知る効果もあるため、ビジネスの場面でも活用することができます

例えば、顧客とのコンサルテーションや、グループワークでのチームビルディング、チームの生産性向上、部下育成、コーチングのような場面です

一緒に仕事をする顧客や仲間を相手に傾聴することで、傾聴が作り出す「何でも話していいのだ」という心理的な安心感の中で、相手の発言や行動の背景にある思いや考え方を知ることができます

傾聴の4つの技法に加えて、質問のスキルを追加すると、なお一層の他者理解ができるようになるでしょう

(2)心理的安全性の確立

従来のディスカッション、意思決定といった会議で行われるコミュニケーションは、1つの決定を導き出すことが目的で、主張したり、説得することが重視され、収束型の会話が行われます

傾聴によるコミュニケーションは、これとは異なり、物事の本質的な意味を発見することが目的で、探求と開示によって、何かを学ぶことが重視され、拡散型の会話が行われます

これは、傾聴技法が生み出す「他者尊重」という態度が、「何を言っても良いのだ」という心理的安全性のあるコミュニケーションを促進するからでしょう

さらに話し手の思いや考え方に集中できるため、聴き手の共感を促します

このような特徴を生かして、最近では 1 on 1ミーティングで使われるコミュニケーションとして注目されています