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前回にひきつづき、産業・組織の心理学の知識が組織風土改革に必要な理由についてご説明します

個人と組織の関係(つづき)

この個人と組織の関係に働くキーワードには以下のものがあります

フィクション

京都大学霊長類研究所の松沢哲郎教授によると、チンパンジーと人間には認知スタイルの違いがあるそうです

チンパンジーは、見たもの全体を一瞬で読み取る能力に優れており、さながらフォトグラフィックメモリーを持っているかのような認知をするそうです

一方、人間は、見たものをぼんやりとしか読み取らないのだけれども、その意味や背景に自ずから意識が向くような認知をするそうです

松沢教授は、人間のその認知スタイルを「見えないものを見ている」と言います

この「見えないもの」は、サピエンス全史の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ教授がいう「フィクション」です

ハラリ教授は人類が生き延びることができたのは、フィクションを信じる力があったからだそうです

フィクションを信じる力は、集団の力を生み、結束することで、人類は絶滅の危機を乗り越え、今日の我々に至っているとのことです

このフィクションを信じる力を使って、組織を結束させる手法が「経営理念」や「企業ビジョン」の策定です

「経営理念」や「企業ビジョン」を信じたもの同士が集まれば、細かなルールを決めずとも、あるいは外部環境の変化で制度疲労を起こした規則や役割があっても、その組織は秩序を保ちつづけます

このように人間に関する心理学的な知見を持つことが組織風土を変えていくために必要となります

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