“日本は上司と部下が頻繁に会話しているものの、内容としては上司が話している時間のほうが長く、しかも上司と部下の関係は、他国と比べると良好とは言えない、という結果だったのです

日本の上司はしゃべりすぎ。プロコーチが考える部下のポテンシャルを引き出す「いい聞き方」とは | 未来を変えるプロジェクト by iX(アイエックス)

部下の育成方法の課題

会社では、300人以上の社員に傾聴を教えています

多くは管理職です

彼らは口を揃えて、部下との対話で自分が一方的に話すことが多いと自覚しています

これはどうしてでしょうか?

私の仮説は、「義務教育に始まる日本の教育制度が影響を与えている」です

先生は、教壇に立って、一方的に授業を進め、生徒の知識の蓄積度を学期末に測るという、「上から下へ流れる」に慣らされた人々が、会社生活に入れば、自分が受けた体験をそのまま会社という社会で、再現するからだろうと思います

かく言う私も同じでした

若手の社内養成塾に「ストレスフリー」をテーマにした講座を受け持っていたとき、私の体験を元に編み出したストレス対処方法をhow-to式で、若手社員に教える授業の形態も「上から下へ流れる」やり方でした

部下が持っている種を育てる

何年か続けるうちに、空しさが心に蓄積してきました

「私のhow-toは、私という人間を前提として確立されたもので、違う生き方をした若手社員には通用しないのではないか?」、「結局、私は独りよがりの講義をしているのではないか?」と思うようになったからです

このときから、自分にあるものを部下に植え付けるのではなく、部下が持っている種を見つけて、それを育てる育成方法に変えるようにしました

会社に入ってくる若手は、最高学府の大学を出ているので、それなりの知識を身につけています

会社でしか通用しない知識は教えなければならないでしょうけど、それ以降は、彼らの持っている知識の種を一緒に育てて、最後は自分で開花させるような教え方の方が、彼らの成長感と達成感も得られ、意欲も湧くという思うのです

ティーチングからコーチングへ

一言で言うと、「ティーチングからコーチングへ」でしょうか

この態度で接するようになれば、部下への会話も変わってきます

一方的に話す対話方法でなく、「君の気になるところはなにか?」「それに対して何を感じているのか?」「どうしてそう感じるのか?」「自分にとって大切なものは何か?」「君はどういう状態にしたいのか?」という質問を繰り返し、部下に話をさせる対話方法に変えるのです

そうすれば、自然と、部下の話す時間が長くなり、冒頭の引用にある課題は解決されます

加えて、部下には、「この上司は私のことを考えてくれる」という気持ちが湧き、上司と部下との信頼関係も改善されます

部下との効果的な対話方法について、後ほどお話ししようと思います