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職場で嫌われる正論くん

あなたの職場にもいないでしょうか

原理原則を振りかざして異論を唱え、仕事を増やしたり、進捗を停滞させ、疎まれている人です

我が社ではこのような人を「正論くん」と呼んでいます

日本の会社では、原理原則より人間関係や組織の円滑さが好まれるため、正論ばかり唱えず、あえて曖昧のままにしておく方がよいとされることがあります

なので、我が社だけでなく、どこの企業でも「正論くん」は肩身の狭い思いをしているのではないかと思います

正論を言う人は「自分こそが正しい」と思っているので、そのように感じていないかもしれませんが・・・

今野敏さんの描く正論くん

今野敏さんの警察小説「隠蔽捜査」は正論くんが主人公です

警察組織のキャリアで、原理原則を大切にし、不正や隠し事は一切せず、どこまでも仕事に忠実であろうとします

私は正論くんに対してネガティブな印象を持っているだけでなく、組織の調和を乱す輩だと思っていますので、この小説を読み始めた時に、主人公の竜崎が正論を振りかざすことで窮地に陥るストーリを期待しておりました

しかしながら、この竜崎は仕事だけでなく、プライベートの家庭でも正論くんでいようとするところから、彼への見方が変わります

ヘロインに手を出した息子に対して、警察内部のコネを使ってもみ消そうとはせずに、自首をするように家族を説得します

これはなかなかできることではありません

清さのある正論くん

私の会社で知る正論くんは、どこか一本筋が通っていないところがありました

仲間内には原理原則を適用しなかったり、行動に下品さが見られるようなことがあったからです

自分に厳しくし続けるには大変な努力が必要です

清く生き続けることは難しいのです

ところが、竜崎は違いました

私の知る正論くんとは異なり、苦悩しながらも自分に厳しくし続ける人でした

その姿を見て変人と呼んでいた周りの人たちも竜崎に理解を示すようになっていきます

これが同じ正論くんでも、清さのある正論くんと、そうでない正論くんの違いなのでしょう

この小説で本物の正論くんに出会うことができました

息子の犯罪で左遷される竜崎ですが、左遷先での活躍を描いた続編「果断」があるそうです

楽しみです