好意的感情の発生条件
信頼関係にある当事者同士には好意的感情を抱いていることを前回示しました
それではこの好意的感情はどのようにして発生するのでしょうか
その発生条件として以下の5つを挙げます
(出典)書籍「コミュニケーション力」(渡邊忠、渡辺美枝子)
空間的距離
相手が近くにいるほど、お互いのコミュニケーションの機会が増えるため、個人的な情報も共有しやすく、気も許して親しくなります
但し、近くにいるだけでは好意的感情は発生しません
セミナーの参加者が、ファシリテーター主導のアイスブレイクをきっかけに、隣の席の初対面の人との対話が始まり、昼休み時間に「それでは一緒にランチでもどうでしょうか」と親しくなっていくように、コミュニケーションの機会が必須条件となります
電車の中で隣に座った人ととは中々話をすることはありませんので、その人の間では好意的感情が生まれないことと同じです
接触頻度
何度も会っていると相手に親近感が増します
部下との面談で2時間たっぷりと時間を使うより、30分の面談を4回繰り返す方が親近感が増します
類似性
これは「類は友を呼ぶ」というものです
以下に挙げる「属性」や「特性」に類似性があると親近感が増します
これにより「自分だけではない。仲間がいる」という社会的存在の正当性を確認できます
相手の行動も予測しやすく、心理的安心を感じるようになります
- 属性
- その人や家族の経歴や社会的環境、年齢、誕生日、出身地、学校、共通の知人、職業、職位、家族構成
- 特性
- 趣味嗜好、行動傾向、心理的特性、考え方、ちょっとした癖、その時々の心情
相応性
こちらが相手に親しみを持ち、それを態度や言葉で匂わせたり、表明すると、相手もそれに応じてこちらに好感情を持つことが多くなります
そのことが更に相応性を進め、親近感が増します
相補性
相応性が高まり、自分の欲求や期待に応じてくれると、こちらも相手を思いやり、その期待に応じようとします
お互いに補い合い、依存する関係に発展します
(つづく)