前回の記事で紹介した部下のように、相手の思いを上手くくみ取れないことがわかったら、どのように指導すればいいのでしょうか
話し手の思いが伝わらない理由
話し手は自分の思いをはっきりと言葉にすることは稀です
これには2つの理由があります
1つは、話し手が上手く伝える方法を知らないことです
大抵の場合、断片的な事実だけを述べます
カウンセリングの訓練のひとつに「口述記録」というのがあります
クライエントが話したことを録音し、文書に書き起こす作業を口述記録といいます
書き起こされた文書を読み返すと、多くの場合、人は論理的に物事を話しません
もう一つは、話し手が自分の思いを自覚していないことです
特に、感情が高まっているときは、その傾向が強いです
感情は即座に現れるのですが、その理由は無自覚であることが多いのです
これらの2つの理由があるため、話し手の思いを引き出してあげる必要が、聞き手にはあります
それが、相手の思いを汲み取る質問です
相手の思いを汲み取る質問
「あなたの思いは何ですか?」といきなり質問してもうまく答えることはできません
それは先ほど述べたとおり、上手く伝える方法を知らないからです
そこで、以下の3種類の質問を順序立てて行います
1つ目が、話し手の今感じている「感情」に関する質問です
2つ目が、その感情が起きる背景として、話し手が持っている「知識」に関する質問です
3つ目が、話し手の要望や希望である「意志」に関する質問です
この3種類の質問を問うことで、話し手の思いを自然にあぶり出すことができます
感情、知識、意志と言われても、この3種類を覚えることは難しいかもしれません
ましてや質問文などはそうでしょう
そこで、使ってもらいたいのが、私の考案したTQ(タイムライン・クエスチョン)です
TQ(タイムライン・クエスチョン)
タイムラインとは、現在、過去、未来という時間軸を示します
そして、現在感じている「感情」、過去に身につけた「知識」、未来にどうしたいのかの「意志」に関わる質問をすると覚えておくのです
具体的な質問は下図のようになります
このように、時間軸で質問を整理して、頭に入れておくと、相手に質問がし易くなり、相手の思いも上手に汲み取ることができるようになります
さあ、使ってみよう
この質問集は、とてもパワフルです
まずは、ご自身で試して下さい
何かの悩みを持ったときに、まず、今の感情に関する質問をします
感情は、怒り、悲しみ、混乱、弱気、恐れ、強気、幸せ、そのうちのどれなのか
そして、その感情が起きる理由である、過去に得た「知識」に関する質問をします
最後に、将来に自分はどうしたいのか、「意志」に関する質問をします
これだけで、自分の気持ちが整理され、楽になり、悩みに取り組もうという力が湧いてきます
自分で慣れたら、周りの人にもやってあげて下さい