私にとっての田中角栄さん
「マスコミとその背後で糸を引く黒幕によって、如何に世論が統制されてしまうのか」
そんなことがよく分かるのが、田中角栄さんの事件だと思うのです
テレビ、ラジオ、新聞から流されるロッキード事件の報道によって、子供の頃の私は「彼は悪徳政治家である」とすっかり洗脳されました
しかし、彼の死後に出版される書物などを読んだり、インターネット番組を視聴するに応じて、彼に対する評価は大きく変わりました
社会全体に憂鬱な気分が広がり閉塞感が漂うと、田中角栄さんを再評価する空気が生まれます
「角栄さんだったら」という期待をみんなが寄せるのでしょう
雪と戦っていた田中角栄さん
相変わらず、彼に関する本が出版されると、つい手に取ってしまいます
以下は、前野雅弥さんの「田中角栄のふろしき 首相秘書官の証言」からの引用です
岡山生まれの君にとって雪はロマンの世界だよな。
雪はトンネルを抜けたら銀世界が広がって、それをめでながら酒を酌み交わす川端康成の『雪国』みんたいなイメージだろう。
だがな、俺にとっては生活との戦いなんだ
前野雅弥著「田中角栄のふろしき 首相秘書官の証言」
このセリフは、当時の秘書官である小長啓一さんに田中角栄さんがかけた言葉だそうです
角栄さんの故郷である新潟県西山町は冬になると雪に埋もれてしまうような山村で、都会から遮断されてしまうようなところだそうです
「東京も田舎も全部、平等に全体を豊かにする。それこそが政治の重要な役割なんだ」というのが角栄さんの原点だそうです
どんな政治家でも同じようなことを言うことはできるでしょうが、「雪と戦う」経験のあるか、ないかでは大きく異なると思います
国民と同じ目線を持つことができる宰相
彼の政治の原点が「日本列島改造論」で結実し、新幹線や道路などのインフラが整備されていきます
また、「朝暗いうちから夜星がでるまで指がち切れるほどに働いても、自分が病に倒れた時にお金がなくて医者にかかれないような人たちを救いたい」という気持ちから、社会福祉の充実を政策に取り込みます
「国民と同じ目線を持つことができる宰相でなければ、この国を任せることはできない」
そんなことを強く思わせる田中角栄さんでした
きっと聞き上手だったと思います