職場には必ずチームというものがあります

チームワークを心理学の側面から研究している山口裕幸さんの著書「チームワークの心理学」を引用しながら、チームが優れた成果を出す条件について考えてみます

チームが優れた成果を出す条件

チームは、ある仕事の目的のために集まった人々が、コミュニケーションを使って相互作用をおこなう集団です

山口さんは、チームが優れた成果を出す条件を以下の図で示しています

山口さんの説明によると、チームが優れた成果を出すためには、「目標達成への明確な道筋と戦略」を定め、「適切な能力を有する人材の確保と配置」を行えば、良好なチームワークが醸成され、優れた成果を出すと説明しています

チームワークとは

ここで、チームワークとは何でしょうか

山口さんの定義を引用します

チームワークとは、チーム全体の目標達成に必要な共同作業を支え、促進するためにメンバー間で交わされる対人的相互作用であり、その行動の基盤となる心理的変数も含む概念である

行動面だけでなく心理面も定義に加えているところがポイントです

チームワークを表すモデルは色々あるのですが、その中から行動面と心理面を包括したモデルとして下図を山口さんは紹介しています

チームの指向性

チームの指向性はチーム内の良好な人間関係を維持し目標達成に向けてベクトルを合わせるプロセスです

チーム活動に必要な作業手順、知識などもこのプロセスで共有されます(これらを共有メンタルモデルと呼びます)

チーム・リーダーシップ

チーム・リーダーシップはメンバー間の相互作用を始めとして、チームで活動する過程において目標達成を促進するように働きかける影響力です

リーダーシップというとチームの責任者やベテランの人が取るものと考えがちですが、チーム全員が発揮することのできるものです

ある目標を達成しなければならない局面において、リーダでないメンバーが他のチームメンバーに働きかけて統率者になるということは、皆さんも経験のあることではないでしょうか

このようにリーダシップはメンバーの誰にでも発揮できることなのです

そのためには、メンバーの各々が「自分の得意なことを活かしてチームにどう貢献できるだろうか」という視点で自分のことを見つめ直しておくことが必要です

モニタリング

モニタリング以降の4つのプロセスは、実際のチーム活動の中でメインとなる活動となります

モニタリングでは、個々のメンバーの状況やチーム全体の状況を把握します

フィードバックと支援

フィードバックでは把握した状況をメンバーに伝えたり、課題を一緒に検討するためのプロセスで、支援はメンバーの負荷に偏りがあった場合にその作業を手助けします

相互調整

フィードバックや支援を行うと、当初に決めた役割やプロセスとの間に違いが発生して支障が出ることもありますから、それを調整するプロセスとなります

学習

このモデルの優れているところは、学習というプロセスを通じて、相互調整された結果がチームの指向性やチーム・リーダシップに反映されるところです

この学習によって、チームワークが優れたものになるようバージョンアップされていくのです

コミュニケーション

これらの6つのプロセスを結びつけているのがコミュニケーションで、チームの外側からの入力、チームの現在の処理能力を示すスループット、チームの最終的な成果である出力をコミュニケーションを使ってチームの中で共有します

このモデルをみて分かるとおり、チームワークにとってコミュニケーションが如何に重要であるかと言うことがよく分かります