こちらの記事でチームワークのモデルを紹介しました

実際のチームワーク活動を例にとって、このモデルの理解を深めていきたいと思います

大型船の航行ナビゲーション・チーム

山口裕幸さん著書「チームワークの心理学」にて、大型船の航行ナビゲーション・チームの例が紹介されていました

このチームは、船の包囲を測定する係、その測定方位を記録する係、海図上に船の現在位置を記録する係といった具合にメンバー毎に役割を決めた分業体制を取りながらも、その分業を有機的に連携させることで安全な公開を実現させていたそうです

「有機的に連携」というのは、「役割は分かれているけれど、チームとしての責任を果たそうとして、自分の役割を超えて、他のメンバーの役割である作業にも頻繁に介入すること」という意味です

そして、それを繰り返す中で、各メンバーの行動は、バラバラの自由意志によって起きるのではなく、他のメンバーの行動と同期するように起き、チームとしてまとまりのある行動となっていったそうです

暗黙の協調によるチーム活動ですね

暗黙の協調はどうして生まれたか

このような活動が、この航行ナビゲーション・チームの中で育ったのかということについて、山口さんの本では、「メンバーの抱く運命共同体意識があるから」と説明しています

大型船の運行を安全に保つと言うことは、チームの責務と同時に、自分たちの命にも関わることでもあると言うことです

他のメンバーのミスやエラーは、チーム全体の失敗につながり、結果として自分の命を危うくすることになるので、自分の役割だけでなく、その役割がチームの中でどういう意味を持つのか、また、他のメンバーの役割が自分の役割にどういう影響をあたえるのかといった広い視野を持つようになるのです

そして、このお互いに役割を理解し合うことが、暗黙のうちに行動を調整して同期させることのできるチーム活動を生むのです

暗黙の協調を育てるマネージメント

この「自分の役割を超えて、他のメンバーの役割である作業にも頻繁に介入する」ということは、一般的には中々できることではありません

なぜならば、他のメンバーの役割に干渉するということは、他のメンバーとの葛藤を生むことになるからです

更に言うと、私たちの職場で、お互いに命をかけるというほど緊迫した状況で仕事をするということはほとんどありません

よって、山口さんは、「メンバーがチーム全体の目標達成を強く意識し、広い視野を持ってチーム活動に参加するように仕向けるチーム・マネージメントの工夫が必要」と主張しています

ベクトルを合わせるマネジメント・スキルが必要ということですね

この工夫の一例が、私が会社で風土改革活動としてマネジメント層に実施した共感教育に相当します