私はどちらかというと保守的な考え方を大切にする方だと思います
保守とは
「保守的」と言うと、「頭が固い」「融通が利かない」と感じる方もいるでしょうが、保守的であるからと言って、考え方が柔軟ではないということはないと思います
「革新的」な考えを持つ人も、特定のアイデアに固執していることがあるからです
「保守か革新か」ということと、「頑固か柔軟か」ということは別の話です
適菜収さんの定義によると、保守は以下の通りとなります
人間理性に懐疑的であるのが保守である
非合理的に見える伝統や慣習を理性により裁断することを警戒するのが保守である
ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒(適菜収)
保守が有用であるとき
サピエンス全史の著者であるハラリ教授は言います
それでは、目論見が裏目に出たとき、人類はなぜ農耕から手を引かなかったのか? 1つには、小さな変化が積み重なって社会を変えるまでには何世代もかかり、社会が変わった頃には、かつて違う暮らしをしていたことを思い出せる人が誰もいなかったからだ。
サピエンス全史(上)p.116
人は狭い範囲でのものの見方しかできないものです
だからこそ、先人たちの教えや知恵を伝える保守的な考えの持ち主が必要だと思います
それでも「今と昔は違う」という理由で無視されることがあります
しかし、最新技術で作られた堤防が津波で決壊することもあります
以下の記事にある姉吉地区の人たちは石碑に書かれた先人の教えを守り抜き、津波の被害が1軒もありませんでした
「此処(ここ)より下に家を建てるな」。先人の警告を刻んだ石碑が立つ宮古市重茂の姉吉地区(11世帯、約40人)。沿岸部の家々が津波で押し流された宮古市で、ここは建物被害が1軒もなかった。海抜約60メートルの地点に建立された石碑の教えを守り続けてきた住民は、あらためて教訓の重さを胸に刻んでいる。
「此処より下に家を建てるな」 石碑の警告守る <宮古・姉吉地区>
このように保守が重視する価値は個別の現実や歴史に付随するものです
理想のように現に事実として存在しないものは重視しません
保守の使い方
保守的な考えはひとつの価値観に過ぎません
良いとか悪いとかいう話しではなく、評価的判断のひとつなのです
それでは、このような保守的な考えを持つ人たちをどのように使えば良いのでしょうか
それは、物事を決める際にひとつの視点を与えるものとして議論に参加してもらえば良いと思います
例えば、哲学者は「人間とはなにか?」「私たちはどのように生きるべきか?」など、世の中の様々事象について深く考えた人たちです
このような先人たちの教えは私たちにあるひとつの洞察を与えてくれます
山口周さんが「武器になる哲学」で、哲学者の教えを「人」「組織」「社会」「思考」の4つのテーマを考える上でのキーコンセプトにまとめています
このようなツールを使って議論に新たな視点を導入すれば良いと思います
これは保守的な考えを持つ人たちにとってもメリットがあります
議論の結果、新しいことが決められ、それが良い結果を得られても、悪い結果となっても、保守的な考えをもつ人にとっては、新しい現実の積み重ねとして受け入れることができるからです