山口周さんの「武器になる哲学」にはまっています

このサイトは働く人を対象としており、私も企業に身を置く人です

彼の著書の中で、働く人たちが哲学を学ぶ意味を4つ紹介しているので、引用してみたいと思います

1.状況を正確に洞察する

哲学を学ぶことの最大の効用は、「いま、目の前で何が起きているのか」を深く洞察するためのヒントを数多く手に入れることができるということです。

そして、この「いま、目の前で何が起きているか」という問いは、言うまでもなく、多くの経営者や社会運動家が向き合わなければならない重要な問いでもあります

つまり、哲学者の残したキーコンセプトを学ぶことで、この「いま、何が起きているのか」という問いに対して答えを出すための、大きな洞察を得ることができる、ということです。

「武器になる哲学」山口周

検討すべき課題が関係者の間で認知されているとしましょう

しかし、この状況を認知できていることと正しく理解していることは必ずしも同一ではありません

人によって異なる理解をしていると、解決に向けた取り組みもバラバラとなってしまいます

そこで、この状況に関して関係者の間で共通理解を得ておくことは重要です

「これは、○○のときの△△と同じだね」という発言に誰もが「そうだ」と言えるようになると解決が早まります

このときに、哲学者のキーコンセプトを学ぶことで「いま、何が起きているか」という正しい状況を洞察することが出来ます

2.批判的思考のツボを学ぶ

これがなぜビジネスパーソンにとって重要なのかというと、ビジネスでもまた、批判的が態度が求められるからです

変化する現実に対して、現在の考え方や取り組みを批判的に見直して、自分たちの構えを変化させていく

かつてはうまくいっていた仕組みを、現実の変化に適応する形で変更させていく

(中略)

「自分たちの行動や判断を無意識のうちに規定している暗黙の前提」に対して、意識的に批判・考察してみる知的態度や切り口を得ることができる、というのも哲学を学ぶメリットの一つとして挙げられると思います

「武器になる哲学」山口周

この能力は社会や組織に新しい仕組みを導入するときに必要なものです

私は自社で風土改革にかかわっていますが、新しい仕組みを組織に導入するときには、レヴィン先生の「解凍=混乱=再結晶」に従って活動を進めていれば、いま以上に上手くいったのではないかと後悔しています

3.アジェンダを決める

アジェンダとは「課題」のことです

なぜ「課題を定める」ことが重要なのかというと、これがイノベーションの起点となるからです

(中略)

どうすれば「課題設定能力」を高めることができるのか?

鍵は「教養」ということになります

なぜかというと、目の前の慣れ親しんだ現実から「課題」を汲み取るためには、「常識を相対化する」ことが不可欠だからです

(中略)

イノベーションというのは、常に「これまで当たり前だったことが当たり前でなくなる」という側面を含んでいます

これまで当たり前だったこと、つまり常識が疑われることで初めてイノベーションは生み出されます

(中略)

目の前の世界を、「そういうものだ」と受け止めてあきらめるのではなく、比較相対化してみる

そうすることで浮かび上がってくる「普遍性のなさ」にこそ疑うべき常識があり、教養はそれを映し出すレンズとして働いてくれるということです

「武器になる哲学」山口周

以下の記事で、疑うべき常識を打ち破ることでイノベーションを起こした事例を紹介しました

ビジネスパーソンにとっては、このアジェンダを決める能力が最も重要なものだと思います

4.二度と悲劇を起こさないために

これまでに人類が繰り返してきた悲劇を、私たちは今後も繰り返していくことになるのか、あるいはそこで払った高い授業料を生かし、より高い水準の知性を発揮する人類、いわばニュータイプとして生きていけるかどうかは、過去の悲劇をもとにして得られた教訓を、どれだけ学びとれるかにかかっていると、私は固く信じています

「武器になる哲学」山口周

ここで言われている「過去の悲劇をもとにして得られた教訓」のひとつに先人たちの教えがあるわけですが、このような先人たちの教えや知恵を重視している保守の人たちがいます

その先人の教えを守り続けて、東日本大震災の津波を避けることができた宮古・姉吉地区の方々がいます

実学を学ぶ人たちは教養を身に着けよう

日本の教育は明治以降、理論より実用性・技術を重んずる学問である実学が重んじられています

更に最近の国立大学工学系学部の教養科目の必須単位数は私の時代より少なくなった気がします

山口さんが紹介している4番目は、これから実学を学ぶ人にはぜひ身に着けてもらい、持続可能な社会の実現に役立てて欲しいと思います