知性より感情が先行して判断してしまう

哲学者である内山節さんが人の判断の仕組みについて説明しています

物事を判断するとき、私たちは感情でするときと、知性で判断するときとがある

例えば新型肺炎ウイルスのニュースをみて、とりあえず怖いと感じるのは感情による判断だし、さまざまな情報を集めてみると、それほどあわてる必要はなのかもしれないと思い始めるのは、知性による判断だ

人間たちは、感情と知性によるふたつの判断のバランスをとりながら、これまで暮らしてきたといってよいだろう

時代を読む、東京新聞(2020.2.9)、内山節

内山さんはこの感情知性のバランスをとることが難しくなってきているとも指摘しています

だが最近では、この精神的態度は崩れてきているように感じる

感情の判断をそのまま発信することが、インターネット上では可能になっている

そればかりか、今日の政治の世界では、国民感情をあおりながら、自分たちへの支持を集めようとする手法が広がっている

時代を読む、東京新聞(2020.2.9)、内山節

近代社会は「個人にとって大事なものは自分だけ」と考えるバラバラの個人をつくりだし、その自分を評価しようとしない社会への不満が蓄積されていくと、内山さんは述べています

結び合う社会へ

内山さんはこのような状況への対処方法を提言します

私たちがめざすべき社会は、感情と知性のバランスが保たれ、感情が他者への温かさをつくるような社会なのだろう

そしてそれは、結び合う社会のなかで成立するものである

友人や家族のような、結び合う小さな社会の中では、感情はときに温かいものを生みだす

時代を読む、東京新聞(2020.2.9)、内山節

今日の問題は、結び合いを失った社会、個人がバラバラになった社会が作り出した問題なので、感情だけが独り歩きしないように周りがかかわろうと、内山さんは述べています

会社ではどうだろうか

会社の規模が大きくなり、業務の分業化が進んでいくと、社員もバラバラとなります

内山さんの指摘する現象が職場でも起きうるのです

職場の小さな単位でも良いので、社員同士が結び合いましょう

この結び合いが、感情と知性のバランスの取れた判断を社員ひとり一人に与えます