ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
ドイツの社会学者テンニースは人間社会が近代化するとゲマインシャフトとは別にゲゼルシャフトが人為的に形成されていくと考えました(wikipediaより)
このゲマインシャフトとゲゼルシャフトの定義は以下の通りです(大辞林より)
ゲマインシャフト:血縁に基づく家族、地縁に基づく村落、友情に基づく都市などのように、人間に本来備わる本質意思によって結合した有機的統一体としての社会 ゲゼルシャフト:人間がある目的達成のため作為的に形成した集団
日本においては、戦後の高度経済成長期に入ったときに生まれ育ったゲマインシャフトを離れて企業というゲゼルシャフトに所属したのかなと考えられますが、山口周さんは「武器となる哲学」で異なる見解を示しています
山口周さんの指摘
この「企業というコミュニティ」は、テンニースが本来の意味で言ったゲゼルシャフトといえるのかというと、どうも微妙なんじゃないか、というのが私の考えです
なぜそう思うのかというと、いわゆる三種の神器、すなわち「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の三つがあったからです
(中略)
「終身雇用」というのは、一生面倒をみるから忠誠を尽くしてくれという約束事ですよね
さらに「年功序列」というのは、コミュニティにおいては年長者が相対的に尊敬・重用されるという約束ごとであり、最後の「企業内組合」というのは、仲間の雇用を一緒に守ろう、誰かが解雇されないように一致団結しようという約束ごとです
(中略)
要するに村落共同体おにおいて暗黙の前提になっていた約束ごとと同じなんですね
「武器となる哲学」山口周
このように山口さんは一旦崩壊しかかった村落共同体というゲマインシャフトを、企業という別形態のゲマインシャフトが受け継いだと考えているのです
私はその時代の当事者だったので、この山口さんのお考えに触れてその通りだなと感じました
そして、今日の大企業におけるゲマインシャフト的な約束ごとが既に崩壊していると指摘しています
日本的なゲマインシャフトを復活させるには
これは経団連による日本型雇用システムへの批判に現れています
この日本型雇用システムで糧を得ていたお歴々がよく言うよと思います
受容性の高い人々が多いという日本ならではの国民性には、ウェットな人間関係が居心地がいいわけで、欧米型のドライな人間関係で成り立つゲゼルシャフトに「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」という日本風の味付けをして完成したのが日本型雇用システムだと思います
私自身、この日本型雇用システムの中で、働きながらも楽しく過ごしていたことを思うと、昨今の企業のあり方に憂いを抱きます
これから働楽人生を遅れるようにするにはどうすればいいでしょうか
テンニースの示すゲマインシャフト的な要素を職場の中で再生することなのかと思います
例えば、相互承認のような「他者からのまなざしやねぎらい」や「他者へのまなざしやねぎらい」によって、職場の中にいる自分を再認識できるようにし、「自分はここにいていいのだ」という安心感を与えることだと思います
具体的にどんなことを行えば良いかは別の機会にお話しします