明治時代から戦後まで生き抜いた石橋湛山は私にとって尊敬できる政治家です
教科書に書かれていない史実に触れる
ジャーナリスト出身と言うこともあり、批評眼が鋭く、彼の著書である「湛山回想」でその片鱗を垣間見ることができます
例えば、戦前の政党は軍部を利用して政権争いをし、やがて軍部は政党を軽視するようになり、民主主義を踏みにじって政治の指導者に成り上がります
これが日本を戦争に導くことになります
そういったことが、東洋経済新報の論説員であった生き証人の言葉として戦前の政治情勢を評しており、非常に説得力があります
また、憲政の神様と言われた尾崎行雄が、実は普通選挙に反対していたことを示しています
それには理由があって「まずは普通選挙を求むる人間を作れ」と政治教育の重要性を説いていたからです
歴史で学んだこととは別の視点を与えてくれます
政治だけでなく、関東大震災、欧州戦線(第一次世界大戦のこと)、大東亜戦争の日本人の暮らしぶりを知ることもできます
文章も平易で読みやすく、時折文語調(「而(しか)して」なんて現代では使わないし)が湛山の口調を間近で聞く臨場感を与え、心地よいです
湛山カムバック
尾崎行雄の憂えの通り、政治教育なしに民主主義を導入したツケが回ってきているのでしょうか
日本人はどうすれば豊かな民族として過ごすことができ、海外からも称賛をえるようになるのでしょうか
湛山のような政治家が現代に舞い戻り、鋭い批評眼でワイドショー化した政治を立て直してくれたら楽しくなると思います