「部下に在宅勤務をさせたが、部下の様子が気になって仕方がない」
そんな管理職の方に、部下から自発的に様子を教えてくれる方法についてお話しします
但し、この方法は既に部下との間で信頼関係を失っている管理職の方にはあまり効果がありません
このような自覚をお持ちの方は以下の記事をご覧頂いて自己チェックを行い、まずは信頼関係の再構築をお勧めします
在宅勤務の部下を抱えた上司の悩み
先日、在宅勤務の開始と終了メールが社員の仕事に対する取り組み姿勢を変えるというお話しをしました
投稿後、この記事へのアクセスが増えています
検索ワードを調べてみると、検索するときに以下のワードを使っていることが分かりました
代表的なものをあげてみます
- 在宅勤務開始 メール
- 在宅勤務 メール
- 在宅勤務 メール連絡
- 在宅勤務 終了
- 在宅勤務 終了時
- 在宅勤務終了 メール連絡
- 在宅勤務 就業 メール
- 在宅勤務 就業連絡
- 在宅勤務 残業管理 上司
- 在宅勤務 メールの送り方
- 上司 勤務報告 メール 在宅
在宅勤務を導入している企業は、どこもメールを使って在宅勤務の開始と終了を知らせているようですね
「上司」「残業管理」「勤務報告」というワードがあることから、管理職の方のアクセスもあるようです
自宅で勤務している部下の管理は、管理職の気になるところなのでしょう
先日、私の勤務先とは異なる会社に務めている課長から、在宅勤務中の部下の管理について相談を受けました
ありがちなPull型の管理方法
その課長によると在宅勤務を始める前と後では部下の反応が悪くなったそうです
以前は部下が抱えている仕事の状況が分かっていたのですが、在宅勤務になって部下から入ってくる情報が少なくなり状況が見えなくなったそうです
課内会議をビデオ会議に変えて部下から情報を集めようとするのですが、「特にありません」「大丈夫です」という発言ばかりで本当に仕事を把握しているのか心配になってしまうのだそうです
こうなってしまうと、業務のあらゆる手順を監督し、その経過を逐次報告させ、仕事の進度を把握するしかないかなと思ってしまいます
すべての情報を部下から引き出すPull型の管理方法です
この課長もこのようなマイクロマネジメントには抵抗があるようで、私への相談となりました
在宅勤務下では主体性が求められる
「業務のあらゆる手順を監督し、その経過を逐次報告させ、一切の意志決定を部下にさせない」というPull型の管理方法は少人数の部下であれば課長もやっていけるでしょうが、部下の数が多くなると課長自身が破綻します
そしてこの管理方法は部下に対して決定的な問題を引き起こします
それは部下の主体性を奪うということです
そもそも在宅勤務は自己管理ができない社員には務まりません
それだけ主体性が求められるのです
そのような制度であるため、Pull型の管理方法とは相性が悪いのです
仕事を自分事と考えられるようにする管理方法が相応しいでしょう
私は部下から引き出すPull型ではなく、上司が持つ様々な情報を部下に渡すPush型の管理方法を勧めたいと思います
在宅勤務はPush型の管理方法へ
ここで部下の立場を考えてみたいと思います
実は上司と同じように部下も不安になっています
慣れない勤務形態、その制限下で達成しなければならない仕事、家族生活との両立、いつまで続くか分からない在宅勤務、新型コロナウイルス感染対策からくる外出自粛などなど
新型コロナウイルスという外的要因による外部環境の変化があるとはいうものの、仕事が上手くいかなくなったら評価されるのは部下です
そしてその権限を持っているのは上司であり、ただでさえ部下は弱い立場にあることを忘れてはいけません
このように多くの不安を抱えながら部下は在宅勤務を行っています
さらに在宅勤務によって、自分に入ってくる情報が圧倒的に少なくなります
在宅勤務が始まる前では当たり前だった、
- 事務所で漏れ聞こえる社員の声
- 仲の良い同僚とのおしゃべり
- 会議で知る情報
- 掲示板
- 社内広報誌のような配布物
- 会社にいるときの雰囲気、などなど
こういった媒体から得る情報が一切なくなります
不足する情報に対する不安もあるのです
このように不安になっている部下に対して上司ができることは上司からの情報提供です
上司の持っている情報の方が部下より圧倒的に多いのは事実だと思います
- この勤務状態がいつごろまで続くのか
- あるいはどうなったら終わるのか
- それについて会社で検討されている情報
- 部下の仕事に関係する情報
- 他部署の動向
- そして何よりも不安に感じている部下に対する上司の気持ち、などなど
在宅勤務前では伝えなかったような些細な情報でもここぞとばかりに伝えるのです
プロジェクト管理ではステイクホルダー管理という技法があります
プロジェクトには顧客だけでなく、顧客の顧客、顧客の社内関係者、プロジェクトメンバー、そのメンバーを輩出している母体組織、協力会社など様々なステイクホルダーが関与しています
このステークホルダーを「権力の大小」「関心の高低」で分類し、それぞれについて下図のように対応を変えます
この図にあるとおり「権力が小さく、関心が高い」ステークホルダーは、たくさんの情報を与えるのが正しい対処方法としています
そして部下はここに当てはまります
この対処方法に従って、情報をたくさん与えるのです
Push型の管理方法のメリット
このようにたくさんの情報を部下に対して渡すPush型の管理方法をとると、部下は上司に対して在宅勤務前とは違った印象を抱き、自分に対して気にかけてくれているという気持ちになります
不足する情報に対する不安も解消され、上司に対する親近感が高まります
さらに「相談に乗ってくれそうだ」と部下が思えるようになれば、上司にメールを出すようになるでしょう
部下からメールの問合せが来たら、レスポンスは30分以内に出すようにしましょう
時間が経てば経つほど不安になり、トータルの生産性の低下を招くこととなるからです
レスポンスを良くすれば、部下から自然と情報が集まるようになり、部下との間の信頼関係も高まります
そうすれば上司は部下が何を考えているのかがわかるようになり、管理の手がかりとなります
適切な情報を渡しながら、部下に考えさせるような関わり方を続ければ、部下の主体性を育むこともできます
これはいわゆる逆転の発想です
情報が欲しければ引き出すのではなく、こちらからどんどん情報を渡すのです
上司は働く環境を整えるのが仕事です
在宅勤務という新しい環境に相応しい環境を整えるようにしましょう
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