チームで活動するとき、メンバー同士は何かしらの知識やルールを共有するものと思います

山口裕幸さんの著書「チームワークの心理学」に、共通メンタルモデルというのが紹介されていました

この共通メンタルモデルを使うと、メンバーの間で共有されているものが分かりそうなので、ご紹介します

共有メンタルモデルとは

メンバーの間では一体何が共有されているのでしょうか?

山口さんの本では、クレイガーとウェンツェルの研究が紹介されており、彼らは4つの視点から共有メンタルモデルを測定したそうです

この4つの視点をざっと説明すると、以下の通りです

  • 情報処理
    • メンバーが出会う様々なできごとに対して、適切な対処の仕方についての考え方
  • 知識の構造化
    • メンバーの保持している様々な知識が関連付けられ、役立つように構造化されている程度
  • 共通の態度
    • チーム活動への取り組み姿勢の共有度
  • 共有された予期
    • 目標達成のために活動を調整したりすることへの予期が共有されている程度

チームは何かの課題を解決する集団でしょうから、「情報処理」と「知識の構造化」の視点で測定されるものが必要なのはなんとなく分かります

「共通の態度」の説明は今ひとつわかりにくいので、もう少し詳しく説明すると、「他のメンバーがとる行動を推察することのできる程度」と「チームとしての自信の強さ」だそうです

前者がメンバーで共有されていれば、「あいつも頑張るだろうから、私も頑張ろう」とメンバーに頑張る力が宿り、チームとしてのまとまりが出てきますね

そして後者がメンバーで共有されれば、課題に立ち向かう意欲が湧きそうです

「共通された予期」の説明も分かりにくいので、補足すると、ある場面と取り出し、その場面において、一人のメンバーが何をしようとしたのかを、その場面に居合わせなかったメンバーに推察させてその正確さを測定するそうです

この程度がメンバー間で一致していれば、他のメンバーがどういう行動を取るだろうかということが分かり、必要に応じたバックアップや支援がやりやすいですね

共有メンタルモデルの限界

この4つの視点で測定される共有メンタルモデルが整備されれば、チームに一体感が生まれ、チームのパフォーマンスが上がりそうです

新しくチームを作るとき、どうやって一体感のあるチームを作れば良いのか?と悩んでいるマネージャーには、この4つの視点でチーム作りをしていくと良いかもしれません

一方で、チームのパフォーマンス向上ということを考えてみると、この共有メンタルモデルは必要ではありますが、十分ではないとも思います

例えば、「共通の態度」で測定されるような「態度」や「意欲」と言ったモチベーションにかかわるものは、別の手段で高める必要があるでしょう

チームのメンバー同士でベクトルを合わせるような施策が必要そうです

また、チームで活動する上で、葛藤が生まれることは十分に考えられるので、その対処方法の学習も必要でしょう

共有メンタルモデルが確立されても、環境要因の変化によって、通用しなくなることもあるので、継続的なアップデートが必要でしょう