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風土改革を成功させるには、自分たちの組織風土の正確な現状認識と、組織が「こうなって欲しい」というゴールのイメージを持っていることが大切です

しかしながら、その作業に入る前に「組織風土とは一体なにものであるか」を正確に理解しておく必要があります

ここでは組織風土の定義と、組織風土を変えるための道しるべをお話しします

組織風土とは

組織風土の定義

大辞林によると組織風土の定義は

組織風土
その組織の者が感じている組織内の雰囲気や印象などの特性。

となります

この特性がどのようなものであればよいのかと考えると

働く人たちが職場で活き活きと意欲的に働くことができ、遣り甲斐や自己の存在意義を感じられるような組織風土

であることに、多くの人は異論がないと思います

この仕事意欲に影響与える要因を考えれば、風土改革の手を打つことができそうです

場の理論

このことを考える上で参考となる K.レヴィンの「場の理論」です

人間のあるときの行動(Befavior)は、その人の個人特性(Person)とその時の環境や状況(Environment)の関数(Function)として捉えるべきである

          B = f(P,E)

人が活き活きと意欲的に働くには、「その人の個人特性」と、「その時の環境や状況」に影響を受けることをこの理論は教えています

このことからも組織風土の改善には「個人のアプローチ」と「組織管理へのアプローチ」が必要であることが分かります

この2つのアプローチについて、もう少し深掘りしてみましょう

組織管理へのアプローチ

場の理論の変数のひとつである「その時の環境や状況(Environment)」には次のものがあげられます

  1. 作業環境・設備
    • 職場の照明、空調などの物理的環境、ICT化に伴う新しい作業環境
  2. 仕事特性
    • 自由・裁量性、一貫性、多能性、成長促進性、難易性、フィードバック性、組織的・社会的有意味性、労働負荷、安全衛生
  3. 組織制度
    • 人事労務制度、労働条件、責任・権限規程、作業手順、教育制度
  4. 職場風土
    • コミュニケーション・人間関係、リーダーシップ・フォロワーシップ、意志決定

(出典:新シニア育成講座「グループダイナミクスの実践的理解」日本産業カウンセラー協会)

ここでは1.~4.を広義の組織風土、4.を狭義の組織風土として定義したいと思います

上記の1.~3.の多くは「既にある条件」や「与えられた条件」にあてはまり、変えることができなかったり、変えることに多くのコストと時間がかかるものです

よって、組織風土改革は、4.を対象とした施策を中心として行い、場合に応じて1.~3.の一部と組み合わせて行います

この活動には組織管理へのアプローチが使われます

このアプローチでは、人間関係能力と集団的能力の開発が中心となります

例えばワーク・モチベーションを高めるリーダシップのトレーニングによりマネージャーの集団力学(グループ・ダイナミックス)の実践的理解を深めます

よって、「組織管理へのアプローチ」の対象は、

  • 関係:コミュニケーション・人間関係
  • 管理:上司のマネジメント・問題解決の主体

となります

個人へのアプローチ

「その時の環境や状況(Environment)」の捉え方は人によって様々です

良く捉える人もいれば、そう感じない人もいるでしょう

このように分かれてしまうのは、場の理論のもう一つの変数である「その人の個人特性(Person)」が影響を与えています

個人へのアプローチは、カウンセリング心理学やモチベーション理論などの知見や原理を生かして、組織の一員として必要な意識改革や対人関係スキルの開発を行います

このアプローチによって、「その人の個人特性(Person)」を改善します

よって、「個人へのアプローチ」の対象は

  • 社員:意識の矛先・意志決定への姿勢
  • 関係:コミュニケーション・人間関係

となります

組織風土再生モデル

組織の老化

働く人たちが職場で活き活きと意欲的に働くことができ、遣り甲斐や自己の存在意義を感じられるような組織風土が永続的に維持されれば良いのですが、組織は老化をします(組織の老化についてはこちらの記事をお読み下さい)

組織の老化の具体的な現象として「縦割り組織」、「縄張り意識」、「慣例前例固執」、「官僚主義」、「硬直化」という形で現れます

組織風土改革の必要性を感じている企業の多くは、自分の組織にこの老化現象を見ているのです

再生の道しるべ

老化した組織を再生させるには段階的な治療が必要と考えています

そこで私は組織風土の再生段階を4つに分けて定義し組織風土再生モデルを作りました

  • レベル0:沈黙の職場
  • レベル1:事務的な職場
  • レベル2:熱意のある職場
  • レベル3:変革し続ける職場

最も老化している段階をレベル0として、そこから組織を段階的に再生させます

そしてそのレベルで1段階上げるために必要な対策を講じて、組織風土をステップ・バイ・ステップで再生させます

このように組織風土再生モデルは老化した組織を再生させる道しるべとなるものです

組織の再生は画像が示すように老木から新芽を育てるような作業となります

組織風土再生モデルの詳細は、こちらをご参照下さい

現状認識とゴールの設定

老化の程度にもレベルがありますので、まず対象となる組織のアセスメントを行い、どのレベルにあるかを判断します(アセスメントの方法については「組織風土の現状を把握しよう」を参照して下さい)

アセスメントによって知り得たレベルが正確な現状認識となります

そのあと、組織風土改革活動に経営資源を割り当てる権限のあるスポンサー(社長など)にヒヤリングをしながら、組織再生モデルのどのレベルを最終ゴールとするかを決定します

ゴールが決定したら、そのめざす姿にキャッチフレーズをつけます

それにより組織の内外にいる人々にこの組織がめざす姿が容易に分かるようになります

組織風土の理想の姿

組織風土再生モデルでは、最上位のレベルに「変革し続ける職場」としました

私は宇沢弘文先生が唱える「ゆたかな社会」を支える組織風土がこれに当たると考えています

そのような組織風土では

  • 社員や構成員の夢や願望の多様性を受け入れ
  • その実現は社会貢献にも通じるような仕事を割り当て
  • 一方で企業や団体は社会における恒久的な存在意義を保ち
  • 社員や構成員の仕事の達成に相応しい処遇を与える

ことが行われるようになります

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