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前回に引き続き、本多静六の著書「私の財産告白」から現代のマネジメントにも通用する教えをご紹介します
人をよく見て、よく活かす
「人を使うには、その人の性格(長所と欠点)をよく呑み込まねばならない。」
「人間は誰でも、持って生まれた特長が何かある。それゆえ、上長たるものは、部下についてその特長を発見するに努め、機会あるごとにまずその長所を褒め、しかるのち、ほんの添え物程度に、もし欠点があれば、その欠点を指摘し、矯正するように注意してやる事である。上役が自分の長所を認めていてくれると知れば、誰しも悪い気持ちはしないのが人情である。その部下はどんなにも、日常の仕事に張り合いを感ずるかしれない。そうして、それとなく注意せられた欠点の矯正にも、素直な受け入れ方をして、本気に努力するものである」
「由来、賞賛は春の雨の如く、叱責は秋の霜の如しである。褒めることは人を生き返らせ、のびのびとさせるが、小言はどうも人を傷つけ、萎縮させることが多い。だから、小言を人に言う場合も、称揚することを八分、注意することを二分、といった程度に心を用いるとかえって効果があるようである。子供の躾方についても「三つ褒めて、一つ叱れ」といった言葉もある。したがって、私のその伝でいって、いつも人を叱らねばならぬ場合は、まずその人の長所を挙げて、それを補うべき一事宛をよく注意することにしてきた。例えば、君のこれこれは実にえらいが、ただ一つこういうことになるとちょっとまずい、だから、これこれのことを改めさえすれば、実に綿上花を添えるわけになる、どうか気をつけてくれたまえ、といったように」(出典:「私の財産告白」本多静六著)
人の欠点に目が行きがちなマネジャーは、この本多の教えに従ってマネジメントを見直した方がいいでしょう
欠点ばかりを指摘されると、言われた方は自分の存在を否定されたように受け取ってしまいます
そのように受け止められないように、「ほんの添え物程度」に欠点を指摘するのがよいのでしょう
ここでは部下について述べられていますが、これは自分の子供についても同じだと思います
特に小さい子供にはきつく言ってしまいがちですが、そのような叱り方を続けられると、伸びるものも伸びなくなってしまいます
これも本多の教えに従って「ほんの添え物程度」に叱るのが良いのでしょう
思春期を迎えた子供には尚更と思います
このように部下であれ子供であれ、本多の教えを実践することでより良い人間関係を築くことができます
また次のような人の使い方ができるようになれば、マイクロマネジメントなぞしなくても済むと本多は述べています
「その人(上司)がそこにいても、いなくても、その職場の緊張ぶりに変わりはないように統率することが第一で、それにはなんとしても、人の長所をよく見、よく活かし、自らが部下の信頼を勝ち得るとともに、また部下のそれぞれをそれぞれの地位に信頼し切って、一切を任せる事でなければならぬ。「長所と交われば悪友なし」で、その長所のみを取り上げ、その長所のみを利用すれば、どこにも間に合わぬ部下というものは一人もいない。」(出典:「私の財産告白」本多静六著)
「人をよく見て、よく活かす」を実践することで、部下との間に信頼関係を築くことができると教えています
また、これは前回も申し上げた「主体性を育む人の使い方」にも通じます
「部下に恵まれずに行き詰まっている」
そんな気持ちに心当たりのあるマネジャーの方は、本多の教えを参考にしてみたらいかがでしょうか
次回は「人の意見をよく聴く」についてお話しします