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義父の遺品の中から土光敏夫さんの「私の履歴書」を見つけ、読んでみました。
昭和58年に出版された古い本です。
タイトル通り著者の生い立ちから経済界での活躍が綴られた自伝です
この40年近い前の本から面白いキーワードを発見をしました。
それは「チャレンジ・レスポンス」です。
東芝のチャレンジ
土光さんは昭和40年(1965年)に東芝の立て直しのために社長就任されました。
そこで取り組んだのが「チャレンジ・レスポンス経営」です。
この「チャレンジ」と「東芝」というキーワードからお気づきになった方もいると思います。
それは2015年に発覚した東芝の不正会計問題です。
「チャレンジ」という経営者の無理な利益達成目標要求という圧力で、利益の水増しが行われた事件です。
未だに東芝は会社再編を巡って迷走が続いています。
「東芝は1965年から40年間もチャレンジを続けてきたのか?」と思われるかもしれませんが、土光さんは悪しき習慣を作るような経営者ではありません。
土光さんが東芝の立て直しに使った「チャレンジ」は「自分たちで決めたことが何故できなかったのかの説明を要求し、議論を呼びかける」で、「レスポンス」は「チャレンジにすばやく答えること」です。
大分違いますよね
土光さんが教えたかったこと
経営者による無理な目標を要求するのではなく、できなかったことをきっかけに組織の中で議論を呼び起こす。
土光さんは「リフレクション(内省)による組織の学び」を奨励していたのではないでしょうか。
この「チャレンジ・レスポンス」が40年の年月を経て、経営者の交代もあり、次第に土光さんの思いが変質していったのだろうと思います。
土光さんもあの世で憂いを帯びた顔をしているのではないでしょうか。
組織の中では単に言葉だけを継承するのではなく、その意味も含めて継承しなければなりません。
土光さんは社員と「体験を共有する」ことを大切にしていたと本書で紹介しています
良く現場に出向いて社員と対話を重ねたそうです
そういう努力が土光さんの思いを会社の隅々まで浸透させ、組織風土を築いていったのでしょう
トップが交代したとしても良い組織風土が風化せずに継承できる仕組みが組織には必要です
土光さんから個人的に学んだこと
本書を読んで私が個人的に学んだことが幾つかありました。
土光さんは常に心を何の迷いのない状態にすることを心がけていたそうです
そのために、神様に今日一日を報告し、悔いを明日に残さないことを習慣にしていました
これを「ニッポン晴れにしとく」と言うのだそうです
経団連会長まで務めた土光さんは日々多忙だったと思いますが、仕事をこなす秘訣がこれだったのでしょう
私は以前読経をしていたのですが、久しぶりに再開して、毎晩読経の後に一日の振り返りをするようにしました。
お陰で「ニッポン晴れ」で気分良く朝を迎えられるようになりました。
また土光さんは清貧で有名ですが、土光さんの手帳には英国詩人ワーズワースの「暮らしは低く、思いは高く」が書かれていたそうです。
どちらか一方を目標とすることはよく聞きますが、双方を目標にするというのは中々ないのではないでしょうか。
また「千円を一日で使うのは難しいね」と言ったそうで、どういうことなのかというと千円で購入した本を一日で読むことが難しいということだそうです。
そんなスピードで本を読んでいたら、知識も溜まりますよね。
旺盛な知識欲な方だと思います。
一日一冊とはならないでしょうが、見習いたいと思います。