傾聴から始めた風土改革

風土改革を始めるにあたって、「コミュニケーションの改善からだね」って、傾聴を管理職に教えることから始めました。

風土改革の取り組みが初めてでしたので、「まあなんとかなるさ」と言う楽観と、「本当に大丈夫なの?」と言う不安が入り混じりながら活動を始めました。

ところが、「やはり、傾聴から始めたことは間違いでなかった」と思わせるような出来事が先日ありました。

それは、1on1ミーティングをやって部下のモチベーションをあげることができた課長の話しで、私はそれを「1on1の奇跡」と呼んでいます。

お互いに知らなかったこと

その部下は、元々の専門であったOS(Operating System)の仕事から、クラウドの仕事に移って、元気がありませんでした。

彼を何とかしたいと思った課長は、1on1の相手に彼を選び、定期的に1on1をやりました。

実は1on1で使われるコミュニケーションスタイルは傾聴なのですね。

毎回30分程度の1on1を何度か繰り返し、ひたすらに話を聞いたそうです。

そうしたら、知らないことが、沢山分かったというのですね。しかも、お互いに。

まず、課長が知らなかったことは、部下の「社会貢献したい」という価値観だったそうです。

そして、部下が知らなかったことは、「私はOSにこだわっていたけど、クラウドだってOSと考えることができるんだ」という「新たなものの見方」を知ったことだったそうです。

知らなかったことの掛け合わせで、部下と新しい関係を築く

そこで、課長から、「あなたの大切にしている社会貢献を、クラウド関連の仕事でやってみない?」って仕事をアサインしたのです。

暫くして、彼の仕事に対する姿勢が変わったそうです。

仕事を通じて自分の価値観を満たすことができるのですから、それもそのはずです

これは、元気のない部下のモチベーションを上げることができた好例だと思います。

上司と部下が、お互いに『知らないもの』を『知ること』に変えることで、部下と間に新しい関係が生まれて、部下のモチベーションを上げることができたのです

自分には知らないことがあるんだと認め、知る努力として、部下と向き合って傾聴をすることの大切さを物語る出来事です

一方で、自分には知らないことがあるんだと認めずに、自分の知っていることだけを押し付ける人が上に立つと、その組織は悲劇だと思います

実際にそういう人って、皆さんの身の回りにもいるのではないでしょうか

これからの組織の在り方

自分たちにも知らないことがあるんだと認めて、人の話を聞こうとする。そういう態度の管理職が多い組織は、きっと、良い組織になると思います

「自分には知らないことがあるんだと認めて、謙虚に、人の話を聴くと、色んなことが分かって、その掛け合わせで、新たな発見があり、先の課長の例のように、部下のモチベーションをあげるようなイノベーションが起きる」

そのことが当たり前になれば、会社はもっと良くなると思います

これが私が体験した「1on1の奇跡」です