軽井沢の別荘

軽井沢の旅番組をテレビで見ました

レポータが軽井沢の別荘地を訪れて、その中の一軒の別荘の住人にインタビューをしました

その別荘の敷地はとても広そうで、大型犬を数匹飼っており、優雅そうでした

年に15日しかその別荘で過ごさないそうです

15日のためにこんな素晴らしい別荘を所有しているのかと思いました

世の中にはそういう方もいるのですね

別世界を見て私はルサンチマンを抱いてしまいました

ルサンチマンとは

ルサンチマンとは「妬み」です

ニーチェの言葉です

山口周さんの著書「武器になる哲学」でルサンチマンの弊害の説明がありましたので引用しましょう

私たちが持っている本来の認識能力や判断能力が、ルサンチマンによって歪められてしまう可能性がある、ということです

ルサンチマンを抱えた個人は、その状態を改善するために次の二つの反応を示します

①ルサンチマンの原因となる価値判断に隷属、服従する
②ルサンチマンの原因となる価値判断を転倒させる

武器となる哲学(山口周)

この①と②について詳しく述べてみます

①ルサンチマンの原因となる価値判断に隷属、服従する

軽井沢の別荘の例で考えてみましょう

①は、「私も別荘を買おう」となることです

軽井沢に別荘を購入することで、同じ別荘族の仲間入りを果たします

「私もそちら側の人です」と自覚することでルサンチマンを解消するのです

経済的な余裕がある場合はよいですが、自分の経済力を無視して返済の見込みのない借金を抱えてしまうようではいけません

このような判断能力を歪められる可能性がルサンチマンにはあると山口さんは指摘しています

山口さんはこのような行動に対して、以下のように助言しています

自分が何かを欲しているというとき、その欲求が「素の自分」による素直な欲求に根ざしたものなのか、あるは他者によって喚起されたルサンチマンによって駆動されているものなのかを見極めることが重要です

武器となる哲学(山口周)

②ルサンチマンの原因となる価値判断を転倒させる

②の場合はどうなるでしょうか

「別荘を持っている裕福な人」に対して自分は劣等感を抱くのでルサンチマンを抱えてしまいます

そこで裕福とは異なる価値を持ち込んでルサンチマンを解消します

例えば、善悪といった価値です

「あんなところに別荘を持っているなんてきっと人には言えないことをしているにちがいない」といったものです

根拠のない判断を持ち込んで、自分の認識能力が歪んでしまうのです

山口さんはこれに対しても以下のように述べています

このような「価値判断の逆転」が、単なるルサンチマンに根ざしたものなのか、より崇高な問題意識に根ざしたものなのかを私たちは見極めなければなりません

だからこそ、ルサンチマンという複雑な感情とそれが喚起する言動のパターンについての理解が不可欠なのです

武器となる哲学(山口周)

ルサンチマンを抱えないためにはどうするか

人はどうしても他人と比べてしまうことが根っこにあり、そのことがルサンチマンを抱えることになるようです

軽井沢の旅番組を見ても、平常心でいられるにはどうすればいいのでしょうか

人と比べてしまうのであるなら、人とは違うことがあるということを素直に受け入れるというのはどうでしょうか

人とは違うことがあるということは、人とは違う自分があるということです

自分があるということは、自分らしい自分があるということです

自分らしさとは何かということを自覚していれば、自分は自分、他人は他人と考えられ、人と比べることに悩むことなくなりそうです

これは、I’m OK, You’re OKであり、多様性を認める社会に繋がることです