30年以上の月日が経ち、大学時代の先輩に憧れて買い揃えたコンポーネントステレオは手元にありません

機種名も覚えていない始末です

頭の片隅にある記憶を手がかりに、googleで検索してみました

検索の過程で、オーディオファンのサイトの発見もありました

インターネットは凄いですね

検索された情報を元に、私のコンポーネントステレオが再現されたのです

当時の下宿の様子が蘇りました

ご紹介します

私のコンポーネントステレオ

プリメインアンプ

Trio KA-800
出典:https://audio-heritage.jp/

今はケンウッドという名前に変えましたが、Trioのプリメインアンプです

左にあるパワースイッチをONにすると、右側にあるフェーダーがボワァーと青く光ります

フェーダーを押す度にフェードイン、フェードアウトします

スピーカーからの信号をフィードバックするΣドライブという方式に惚れました

エンジニアのこだわりを感じます

スライド方式のボリュームのため、微妙な音量調整がやりずらいところがあります

親友の山水のアンプを見て、やっぱりダイヤル式の方がいいなあと感じました

テープデッキ

Victor DD-5
出典:https://audio-heritage.jp/

レベルメーターがデジタルで格好良く、右側にびゅんびゅんと伸びます

ピークレベルが残像として残るのを見ているのが楽しくて仕方ありませんでした

適正なインプット音量を測りやすい機構です

スピーカー

Victor Zero1 Fine
出典:https://audio-heritage.jp/

「スピーカーは一生ものだから」と良く先輩に言われました

とは言うものの学生の身分で高級なものを買えるはずはありません

このスピーカーは当時の人気モデルだったと記憶しています

前面のカバーを取り外し、ウーファーがずんずんと動く姿を見て喜んでました

アナログプレイヤー

Victor QL-F55
出典:https://audio-heritage.jp

ターンテーブルの前面に回転数を確認できるストロボがあります

見ていて楽しかったのを記憶しています

チューナー

Trio KT-700
出典:https://audio-heritage.jp/

チューナーは無線機メーカーであるTrioがよいと思い、選びました

チューニングのし易いインジケータでした

いくら良いチューナーでもNHK FMとFM東京しか入りませんでしたが

時の流れとともに

大学時代の先輩に憧れて買い揃えたコンポーネントステレオ

大学を卒業した後も使っていましたが、音楽のデジタル化やAV化に伴い、徐々に現役引退となりました

まず、CDが普及し、アナログプレイヤーの使用頻度が下がります

ヘッドやモーターの劣化にMDの登場が追い打ちをかけ、テープデッキが引退となります

Hi-Fiビデオデッキの登場により、AVプリメインアンプが主流となると、ビデオ端子を持たないプリメインアンプも用済みとなります

レーザーディスクやレンタルビデオの登場でFMを聞く頻度も減り、チューナーもお飾りになりました

最後まで残っていたのはVictorのスピーカーでした

しかし、これも引っ越しのタイミングで廃棄しました

一生モノではありませんでしたが、先輩の言ったことは正しかった

こうして私のコンポーネントステレオは時の流れとともに消えたのです

オーディオに求められる役割の変化

大学時代を振り返ってみると、私のコンポーネントステレオはオーディオに特化されたシステムでした

それを据え付けた部屋の中で音楽だけを聞いていました

音の広がりや立体感、再現力などを楽しんでいたと思います

社会人になった私は、ビデオテープやレーザーディスクで映画やドラマを楽しむようになり、オーディオが主役から脇役に移りました

5.1chのサラウンド音響がオーディオに求められ、私のコンポーネントステレオがその役割を果たせなくなったのです

多感な青春時代を彩る楽しいモノ

このように、大学時代と社会人生活、オーディオとビデオがぴたりと一致していました

大学時代はコンポーネントステレオに向かって、「これから聞くぞ」という真剣さがありました

社会人からこっちでは、その真剣さが薄れたと思います

最近ではネットのストリーミングで音楽が流れ、音楽はじっくり愉しむものから消費されるものに変わり、その聞き方も多様になりました

スマホに接続されたAirPods、Bluetoothスピーカー、ホームスピーカーなどなど

手軽さとともに聞く真剣さは希薄になったと思います

そう考えると、私はお金をかけて、音楽を真剣に聞く経験を味合うことができた最後の世代かもしれません

大学生という多感な青春時代を彩る楽しいモノが、コンポーネントステレオだったのです