今日は日本語の楽しさモノについて話してみたいともいます

出典は野内 良三さんの著書「「偶然」から読み解く日本文化」となります

野内さんによると、日本語と欧州語には次の違いがあると指摘しています

<日本語>
・述語さえあればよい
・主語は必ずしも必要ではなく補語に過ぎない
<欧州語>
・主語と述語が不可欠

次の例文を上げてこのことを考えます

昨年の春に私は花の名所として知られる吉野を妻と訪れた

この例文を使って、欧州語と日本語の構文を図示します

欧州語は構文が厳格で、図に示す通りの順序でなければなりません

また冒頭にある主語「私は」と述語「訪れた」は落とすことができません

一方、日本語では述語「訪れた」は落とすことができませんが、「花の名所として知られる」と「吉野の」の順序と、「昨年の」と「春に」の順序を除けば、残りの配列は自由に組み替えることができます

例えば、図にある配列のとおり上から読んで

私は花の名所として知られる吉野を妻と昨年の春に訪れた

と読んでもよいし、配列を変えて

花の名所として知られる吉野を昨年の春に妻と私は訪れた

と読んでも構いません

さらに、

私は訪れた

でも

昨年の春に訪れた

でも日本語としてはOKです

なんと自由気ままな言語なのでしょう、日本語は

欧州語は「全体」が「部分」の流れを決定するのに対し、日本語は欧州語のように「全体」のまとまりをうるさく言わず、「部分」が先行してもいいし、自由な流れを許容する言語なのです

これが、俳句とか短歌などの文化を生み、言葉の裏側に隠れている面白さを味わうことができるのです

実に日本語は楽しいモノですね