在宅勤務が恒久的な働き方となるのであるなら、働く人々にとって人生を楽しめるような在宅勤務を考えることは有意義だと思います
ここでは、働くこと通じて人生を楽しむためには「どんな在宅勤務が必要なのか」について、働く皆さんが職場で考える方法についてお話ししたいと思います
これまでの記事はこちらをご覧下さい

働楽な在宅勤務のために5:振り返ることより空想しよう

空想のステップでは、新しいやり方を本格的に導入した未来の姿を想像します

振り返りの限界

新しいやり方を導入したとき、その改善点を洗い出すために振り返りをすることがありますね

「新しいやり方の『良かったこと、悪かったこと』について挙げてください」というファシリテータの進行に従って意見を集める方法です

当事者の素直な意見が網羅的に取り出せる良い手法ですが、これまでと違ったやり方を導入する場合は注意が必要です

そもそも人は一度確立されたものの見方や考え方を変えたがらない生き物なので、新しいやり方が導入された時点で、ネガティブな受け取り方をするため、振り返りでは建設的な意見が出にくいものです

在宅勤務の場合であるなら、社内イントラネットにあるシステムのアクセス方法やビデオ会議システムの使い勝手の悪さに議論が集中してしまい、「A社のビデオ会議システムよりB社の方がいい」といったものですね

このように新しいやり方のHow to論に終始して仕舞いがちです

また、ビデオ会議を使うことが前提の議論が中心となり、例えば「ビデオ会議は使わない」といった大胆な発想が出にくく、上っ面の議論にしかなりません

How to 論からWhy論へ

新しいやり方を導入した初期の段階では、当事者たちは「なぜこのやり方をやらなければならないのか?」という心構えができないうちに、新しいやり方をやらされます

新しいやり方に納得のないままにやらされているようでは、そのやり方が身につかず、本当の意味での変革になりません

そこで、このステップでは「なぜ新しいやり方に変えないといけないのか」というWhy論を話し合って、「新しいやり方に変わることは意味がある」というマインドに職場を変えることを狙います

そこで、この空想ステップでは、

  • 新しいやり方を導入すると、将来にどんな不安なことが起きるのだろうか(不安
  • 新しいやり方を行うことで、将来にどんな素晴らしい未来が訪れるのか(期待

をはっきりイメージさせる空想を、職場で行います

そして、不安なことは皆で潰し、期待には胸を躍らし、新しいやり方に意味を見出すような働きかけをします

これはリスク管理と同じです

リスク管理ではマイナスのリスク(損害)は発生確率を抑え、リスクが顕在化したときの影響を極小化します

一方でプラスのリスク(利益)は発生確率を上げて、リスクが顕在化したときの影響を極大化します

空想ステップではマイナスのリスク(不安)とプラスのリスク(期待)の洗い出しを行います

なお、職場での話し合いは、「説得する」のではなく「共感する」レベルのコミュニケーションが必要となります

話し合いで出された「不安」と「期待」は誰もが共感して、「その通りだ」と感じていなければなりません

そうすれば、「私たちもこの新しいやり方をやらなければならない」という自覚が出るようになり、「なぜ新しいやり方に変えないといけないのか」の答えが見つかります

次回は、How to 論よりWhy論の方が大切であるかを具体例を挙げて説明します