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「うちの組織の社員は言われたことしかやらないんだよね。おたくの組織のように何事にも積極的に取り組んでくれる社員が羨ましいよ」

と話しているB部長は営業からの指示に従って、自社の製品とサービスの見積作成を業務とする営業支援部の部長さんです

B部長は、自分の部下たちが言われたことしかやらず、営業から渡される要求に従った見積もりを作るだけではなく、営業と一緒になって提案活動に入り込んで、仕事を増やして欲しいと常々感じています

先日も営業部の中堅社員と話をする機会があって、そのアグレッシブな態度とモチベーションの高さを知り、うちの部下たちにも見習って欲しいと感じていました

B部長は自部門に漂う雰囲気を何とかして変えたいと思っています

変えられるものと変えられないもの

営業部の仕事は、自社の製品やサービスを使って、顧客が抱えている課題を解決する提案をし、受注に結びつけることです

顧客とのコミュニケーションはもちろんのこと、顧客を先導するような積極性も必要となります

ノルマを達成しないといけないプレッシャーもありが、大きな注文をもらった時の達成感を味わうこともできます

一方の営業支援部の仕事は、営業から指示される要求に合わせて自社の製品とサービスの中から最適な組み合わせを作り、間違いのない見積書を作成することです

ときには営業も気付いていない技術的な課題を見つけ、リスクの少ない見積書を正確に作るようなプロ意識が必要となります

加えて、営業からの緊急の見積もり対応も求められることでしょうから、社員も残業が多くなり、仕事に対する不満に繋がることもあるでしょう

顧客と直接接することは少ないため、自分の仕事が役立っているという達成感を味わいにくい立場にあります

一つの集団に属する成員に共通してみられる心理状態を社会心理と呼びますが、営業部と営業支援部には異なる心理状態が社員の中に存在しています

このような心理状態を持つ部下の姿を見て、B部長の職場の雰囲気を変えたいという気持ちにつながっているのでしょう

営業支援部の仕事の内容を考えると、営業部が持っているような積極な態度で仕事をして欲しいと言っても無理があると思います

ましてや、仕事の内容、その進め方や大切にしている価値観を変えることはできません

それではB部長が変えられるものは何でしょうか?

それは社員の心持ちです

ルビンの壺

ルビンの壺というのをご存知でしょうか

次のような図をご覧になったことがあると思います

ルビンの壺

向き合った二人の顔にも見えますし、大きな壺にも見えるという特徴を持った図になっています

この図から教えられることは、「焦点を合わせている対象は見えるが、そうでないところは見えなくなる」ということです

二人の顔に焦点を合わせると壺は見えず、壺に焦点を合わせると二人の顔が見えなくなるということです

職場の雰囲気を変えるために

B部長は自部門の組織を見るときに営業部が持つ「積極性」に焦点を合わせているため、「言われたことしかやらない」と見えているようです

ルビンの壺に習って、違うところに焦点を合わせてみたら、同じ職場であっても違ったものに見えないでしょうか?

例えば、営業支援部が持つ「正確性」に焦点を合わせて見ると、「正確な見積書を作れるプロ集団」と見ることができます

残業が多く、仕事の達成感が感じにくい職場は、組織の雰囲気も沈鬱になりがちです

そんなときに、ルビンの壺が教えるように、焦点を変えて自部門を見直すことによって、自分たちの仕事に誇りをもてる見方ができ、自分たちの心持ちを変えることができます

B部長は職場の雰囲気を変えたかったら、ルビンの壺に習って社員の心持ちを変えるような働きかけをしてみて下さい