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「日本の公園の父」と呼ばれる本多静六は、数多くの公園設計に関わった林学者ですが、「四分の一天引き貯金」という方法を実践し巨万の富を築いた人でもあります

この錬金術は彼の著書「私の財産告白」に書かれていますが、同書は「私の財産告白」と「私の体験社会学」の二篇からなり、後者には現代のマネジメントにも通用する教えも述べられております

このシリーズでは、その「マネジメント・ノウハウ」を3つ紹介したいと思います

  • 主体性を育む人の使い方
  • 人を見て、よく活かす
  • 人の意見をよく聴く

主体性を育む人の使い方

「人の長となって、第一に注意しなければならぬことは、自分の知識や経験を事ごとに振り回さない事である」
「あまり振り回しすぎると、部下のものは「大将がああいうから、そうしておこうじゃなか」と何もかもそれのみに頼ることになり自然と立案工夫の努力を欠くに至るばかりでなく、全ての責任までオヤジに転嫁する気持ちにさせ、甚だしく、その局部内の、イージーゴーイングな、活気のない、だれ切ったものにしてしまう恐れがある」(出典:「私の財産告白」本多静六著)

仕事のできる人がその実績を買われてマネジャーになった、そんなマネジャーが陥りやすいケースですね

自分のやり方に自信があり、周りの人のやり方が色褪せて見えてしまう人は、自分の知識や経験を事ある毎に振り回したくなるようです

そんなマネジャーに対して、本多は次のように教えます

「上長が部下に対し、責任は私が負う。しかし仕事は君らに一任する。なんでも思う存分やってみたまえ、というふうに出ると、かえって彼ら自身に責任を感じ、自発的に色々創意をこらすばかりでなく、大事なところは大事を取って、いちいち相談を持ちかけてくる。したがって何ごとにも大過はない。しかもみんなは、それを「自分の仕事」としていっそう打ち込んでかかるのだから、かえって、その官庁なり会社なりの仕事は、活気に満ち、能率も大いに上がってくるものである。」(出典:「私の財産告白」本多静六著)

本多は「主体性を育む環境」をマネジャー自らが率先して作りなさいと教えています

昨今の企業経営はコンプライアンスを重視するところもあり、あれこれと社員の行動を縛りがちになります

「他からの支配を受けずに、自分の行動は自分の立てた規律に従って正しく規制していく」

このような部下を育てることが部下の主体性を引き出すのだと思います

次回は「人を見て、よく活かす」についてお話しします

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