1. なぜ今なのか
「過去は栄光、未来は希望」と考えられない人は、「過去は後悔、未来は不安」と捉える。何故、そのように考えるのか。その答えは前頭葉にある。
それは、時間を超えて拡張された自己を思い浮かべる能力の源。200万年~300万年前に発達した前頭葉が「今ここ」からの脱走を始めたと言える。時空を超える素晴らしい能力ではあるが、一方でネガティブ感情を引き起こす原因ともなっている。
それならば、「過去」と「未来」ではなく、「今」に集中すれば良いのではないか。「今」では人間らしく振る舞い、変えることできる。そして、そのチャンスは「今」だけにしかない。
2. より成長へ
目の前の「今」には、困難な状況が立ちはだかっていることもあろう。「どうしてこんな自分なんだろう」と、生きる力が萎えることもあるだろう。
しかし、人間は成長をする生き物である。すべてのものは生まれでて、千変万化して動いてゆく。ほとんど覚えているような愛読書を読み返すたびに新たな発見があるという体験をするのは、わたしたち自身が日々成熟している証拠である。一つの姿にとどまることはできない。逆境を乗り越える自分へと変えることはできるのだ。
では、どのように変えていくのだろうか。変化の第一歩は、まず現状の自分を知ることだ。そのきっかけは「今ここ」の感情にある。
「なぜ不安に思うのか」「どうして怒ったのか」・・・「今ここ」の感情に至ったのには、その背後にその人の持つ価値観、信条がある。これを「意味」と呼ぶ。例えば、「時間は守らなければならない」といったものだ。この生涯を通して身につけたものが「今ここ」の感情を生み出す。「今ここ」の感情を考えることが自分を知る手がかりを与える。
ここで、「この意味は本当に正しいのだろうか」と自問してみる。確かだと思って信じていたものを疑ってみる。そこに成長の種がある。逆境を乗り越える自分へ変容させる機会が「今ここ」にあるのだ。
たとえ困難な状況であっても、「今ここ」の感情をたよりに自己変容のヒントを探り、逆境に潜むプラスの面に気づき、災いを福に転じる心構えを持って、ポジティブ思考に生きる。
今。それは、二度と来ない決定的な瞬間。この瞬間を自由に振る舞い、変えることのできるチャンスを活かす。
「今ここ」に生き、全力を出すことの重要性がそこにある。