戦後の高度経済成長を支えたゲマインシャフト的要素
受容性の高い人々が多いという日本の国民性には、ウェットな職場の人間関係が居心地がよく、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」というゲマインシャフト的要素が戦後の高度経済成長を支えていました
ゲマインシャフトとは「血縁に基づく家族、地縁に基づく村落、友情に基づく都市などのように、人間に本来備わる本質意思によって結合した有機的統一体としての社会」(大辞林)のことです
詳しくは以下の記事をご覧下さい
昨今の日本型雇用システムに対する批判が「終身雇用」「年功序列」に引導を渡していますが、日本的なゲマインシャフトを異なる形で復活させる方法について話してみたいと思います
相交わり、相扶持する
その方法のコンセプトは、「相交わり、相扶持する」です
扶持とは「たすけること。面倒をみること」(大辞林)です
具体的には、以下のようなことを実践する場を職場の中で作ります
- お互いを尊重し合う
- 自ら研鑽しつつお互いの成長のために支え合う
- お互いの成長を実感し合う
場の作り方
上記のようなコンセプトを実現するための場として、例えば、傾聴サロン、事例研究、階層別交流会があります
傾聴サロンでは、社員同士の傾聴により内省の機会を与え、他人事を自分事にする自律的社員を育成し、仕事の意味を見出させ、成長を実感させることを目的に開かれます
事例研究では、ある社員が自分の仕事を事例(ケース)として提供し、他の社員が「自分の立場だったらどう判断するだろうか」と思考し、語ることで、自らの経験の質量を豊かにすることを目的として開かれます
階層別交流会では、例えば課長同士がお互いの体験、助言、意見を交わすことでお互いのスキル向上を図ったり(相互メンタリング)、課長職の喜びと悩みを共に感じ合う仲間を作る(共感の連鎖)ことを目的に開かれます
日本的なゲマインシャフトの効用
「相交わり、相扶持する」ことができる場を作ることで、「自分はここにいていいのだ」という安心感を与え、自らの成長を実感でき、遣り甲斐を導き出す場となります