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前回からのつづき)

雇用延長者が同じ職場でこれまでと同様の仕事を続けるとなると、給与は減らされているのに、「正社員だった頃と同じように、いつまで仕事の責任を負わないといけないのか」という苦しみが生まれます

釈迦の教え

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釈迦がある村に逗留したときに、村人から「屋根の雨漏りをどうやって直したらいいのか」と尋ねられ、「屋根がなければ、そもそも雨漏りしない」と答えたそうです(出典:「執着を離れよ、いまに響く「非常の言」:東京新聞2021年3月1日朝刊)

台風や地震に被災して雨漏りした屋根にブルーシートがかけられたニュース映像が放映されていますが、この被災者が上述の釈迦の言葉を聞いたら、激怒するでしょう

しかし、釈迦の教えたかったことは、「そもそも最初から屋根(執着する心)がなければ、雨漏り(苦しみ)は生じようがない」という身近な例を通して、「私たちの苦悩の根源である執着から離れなさい」ということだったそうです

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雇用延長者の苦しみを取り除くには

「屋根がなければ、そもそも雨漏りしない」という一見非常識に思える釈迦の教えも、雇用延長者にとっては苦しみを除くヒントになるのではないかと思っています

雇用延長者にとって、「屋根(執着する心)」は「仕事を計画し、意思決定し、責任を取るのは正社員が行うべきもの」 であり、「雨漏り(苦しみ)」は「給料の減っている私が、いつまで仕事に対して責任を負わないといけないのか」です

釈迦の教えによると、屋根を取り外せば、苦しみが消えます

どんな屋根の取り外し方、すなわち執着する心を取り除く方法があるでしょうか

計画、意思決定、責任を負うのは正社員が行うべきもの

責任の大小と給与の多寡の関係は、今の会社の仕組みを考えると、常識の範疇ですから、これには執着せざるを得ませんね

簡単に取り除く訳にはいきそうにありません

それでは、もう少し、正社員が負うべきものに目を向けてみます

正社員には実はもっと重いものがある。上司から無茶ぶりされる、大きな飛躍を求められる、自分の得意でないことをやらされる、組織異動に逆らえない、新しい仕組み作りを求められる、等々

常識的な会社であれば、このような正社員に求めることを雇用延長者には求めないでしょう

むしろ、このように正社員に求められる、「新しい仕事の計画の立て方」、「仕事の回し方」のノウハウは雇用延長者であるベテランの方にあり、正社員にそのようなノウハウを伝える役割が求められると思います

コーチとか、アドバイザーとしての役割でしょうか

それであれば、責任を問われることもないですし、「仕事を計画し、意思決定し、責任を取るのは正社員が行うべきもの」ということに囚われる事もないと思います

そもそも雇用延長者に責任を問うような会社であれば、「同一労働同一賃金」を守れない反社会的な会社としてレッテルを貼られ、社会で存続ができなくなっていくだろうと思います

65才以上の高齢者が全人口の1/4以上になっている世の中なのですから

このように考えると、雇用延長者の方々も執着する心が取り除かれ、苦しみが消えていくのではないでしょうか

これから続けていく仕事も、それほど大変ではないことと思えるようにならないでしょうか

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