哲学対話を体験

今日、哲学対話というのを体験してみました

主催者の定義によると、哲学対話というのは次のようなものです

哲学対話とは、物事の本質を集団での対話を通じて探求すること

産業能率大学 総合研究所

哲学対話にはルールがあり、その一例として、東京大学 梶谷真司教授が提唱する哲学対話ルールがあります

  1. 何を言っても良い
  2. 人の言うことに対して否定的な態度を取らない
  3. 発言せず、ただ聞いているだけでもいい
  4. お互いに問いかけるようにする
  5. 知識だけでなく、自分の経験に即して話す
  6. 話がまとまらなくていい
  7. 意見が変わってもいい
  8. わからなくってもいい

心理的安全性知的安全性が保証されているのがポイントのようです

なお知的安全性とは「話し合うテーマの予備知識の有無に関係なく安心して話せる」ということです

今回は4人で実施し、30分間行いました

テーマは、教育観を問うテーマである「気づきって何?」でした

私はファシリテーター役として参加しました

話を聞き流さないよう注意したことと、参加者の共通理解を促すようにしたので、結構疲れました

傾聴サロンと哲学対話

言える化の施策のひとつとして会社で実施した傾聴サロンとよく似ていると思いました

傾聴サロンは内省の場を提供し、参加したもの同士の共通理解を促すことを狙っていました

哲学対話は「哲学」という名前が付いているとおり、以下のようなことを主眼としています

哲学とは、一見自明とされていることを問い直し、物事の本質を筋道立てて考えること

産業能率大学 総合研究所

よって、傾聴サロンも哲学対話も心理的安全性と知的安全性が担保されているところは同じですが、哲学対話は哲学的思考が鍛えられるところが傾聴サロンと異なるところです

適用範囲

哲学対話によって鍛えられた哲学的思考は、組織風土改革にどう役に立つのでしょうか

私の整理では、哲学対話の適用範囲は以下の3つがあると考えました

  • イノベーションのきっかけ
  • 戦略の浸透
  • 共通理解

哲学では、筋道を立てて考える論理的思考力に加えて、批判的思考力も必要です

人は慣れ親しんだ環境下で物事を判断してしまうので、疑うべき常識前提条件を特定することが、イノベーションを起こすヒントになることについて、以下の記事で話しました

哲学対話の批判的思考力によって、イノベーションに必要な疑うべき常識前提条件を探ることができそうです

また、ミドルマネジメントにおいては、経営トップが唱える方針や戦略のような一見自明と思われることを、自分の立場に置き換えて問い直すことで、自身が繰り出す方針に重みを加えたり、説得力を増すことができそうです

その結果、会社の方針や戦略が自分の部下たちに浸透することとなります

この哲学的思考を部下と交えて行うことにより、職場の中での共通理解を深めることにも繋がります

風土改革への応用

共感教育では「ビジョン・目標の浸透」により組織の一体感を作ります

この「ビジョン・目標の浸透」の具体的なやり方として、この哲学対話が使えそうです

なので哲学カフェとして実践してみようと思います

哲学対話は、上述の哲学対話ルールにあるとおり、「話がまとまらなくていい」ものです

今回のテーマは「気づきって何?」も結論が出たわけではありません

よって、会社で哲学カフェを導入するときに想定される懸念として、短期的な成果や結果を求める人たちにどのように反駁すればよいでしょうか

これについては

  • 参加者の考え方がアップデートされる(持続的変化)
  • 哲学的思考が鍛えられる

という答えを用意しておくことと、実施前に根回しをしておくことかなと思っています