先日、ある課長より若手社員の悩みを聞きました
入社した頃は元気だったけれど、担当の仕事をするようになって職場にも慣れてきた頃に、以前より覇気がなくなってきたり、言われたことしかやらなくなったり、問題が発生しても「どうしたら良いでしょうか」と頼るばかりで困ってしまいます
このような社員は皆さんの所にもいるのではないでしょうか
今日はそんな覇気のない若手社員を元気にする方法を教えます
ポジティブな感情を中心に聴く
このような覇気がない社員には、まずポジティブな感情を思い起こさせます
今の仕事にポジティブな感情を抱いていないでしょうから、仕事周辺のことは横に置いておいて、学生の頃の話しや子供の頃の話しまで遡って話題にします
このときに「楽しい」「嬉しい」というポジティブな感情を質問に織り交ぜます
就活のころを思い出して欲しいんだけど、その当時はどんな仕事ができれば楽しいと思ったの?
子供の頃はどんな仕事につければ楽しいだろうなと思ったの?
部下の答え
ロボットを作る仕事が楽しそうだと思っていました
例え、稚拙な答えであっても、「えっ、そうなんだ!」と少し驚きを交えながら、全面的に受け取ります
このときにやってはいけないのが、「それだけ?」とか、「そんな答えじゃ楽しいって分からないじゃないか!」と決して小馬鹿にしてはいけません
部下に「この人は何も分からない(怒)」と信頼を失うことに繋がってしまいます
ここでは 「部下には表現する能力がないのだろう」 と考えるようにして、ここからは積極的に傾聴します
芋づる式質問法
ここからは部下の短い答えを大きく膨らませるために芋づる式に質問をして部下の思いを引き出します
このときに使われるのがオープンな質問です
まずはHowを使った質問です
どんなところが楽しい?
すっと答えが出ないようでしたら、例示を与えてみましょう
君がバスケをやっていたと仮定した場合、シュートが入って楽しいとか、試合に出れて楽しいとか、皆と一緒に出来るのが楽しいとか、色んな楽しいがあるよね?
すると、以下のような答えが返ってきます
自分で作って上手く動くと楽しいです
更に一歩進めて、Whyを使ったオープンな質問をします
じゃあ、何でロボットを作りたいの?
すると、以下のような答えが返ってきます
現状の不便を便利にするためにロボットを作りたかったのです
次は、What を使ったオープンな質問をします
そこでいう不便はどんな不便をイメージしていた?
すると、以下のような答えが返ってきます
歩行が困難なお年寄りが頭に浮かんでいました
と答えます
初めの「ロボットを作る仕事が楽しそうだと思っていました」という短い答えから、How, Why, Whatの3つの質問を投げかけるだけで、色んな情報が引き出せることが分かると思います
ぼんやりの言語化
そして、部下のぼんやりとしていたイメージを言語化して代わりにに答えてます
ということは、君は現状の不便を便利にするためにロボットを作りたくて、そのロボットの研究と開発を行い、自分の設計通りに動いたときに楽しみを感じるのだね。そして、そのロボットは歩行が困難な高齢者の方々に役に立つようなものなのだね
すると、言った本人も、漠然としていた自分の考えが、フォーカスが合うようにはっきりとしてきます
このように表現する能力のない部下を上司による傾聴で言語化してあげるのです
ここで得たものは上司によるおかげだけでなく、部下と一緒に作ったものだということを部下と一緒に共有します
すると、そういうことを一緒に考えてくれた上司に「私のことをよく分かってくれる上司」という信頼感を部下は抱くようになります
おさらい
このような作業は上司にとって大変な作業と感じるかもしれません
本当は怒りたくなるかもしれません
しかし、言語化能力のない部下に対して、ここまで引き出すことで、自分も達成感を得ることができますし、貢献できたという満足感と、部下の満足した顔をみて、更にうれしくなるはずです
ポイントは
- 傾聴技法を使った対話をして、相手のやりたいことをじっくり聞く
- やりたいことを言語化してあげる
- 「やりたいこと」を実現するためにどうすれば良いか考えさせる
ここでは3番目についてお話ししていませんが、仕事の場面では必要なことでしょう
部下からやりたいことを引き出すことができれば、それは自分が発した言葉なのですから、自分の本心であるので、主体的に考えるようになるはずです
終始笑顔で
傾聴で大事なことは、
- 決して怒らない
- 眉間に皺を寄せない
- 笑顔で歯を見せ
- 「えっそうなの?」と驚きを交えながら
- 嬉しそうに聞いて上げる
です
皆さんも是非チャレンジして下さい