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前回の記事で、哲学カフェを職場で行う目的について考えてみました
ここでは、哲学カフェがもたらす職場のメリットについて考えてみたいと思います
メリットは、仕事に関わることと個人に関わることの両方にあると思えるので、ここでは前者について考えてみます
仕事にかかわるメリット
哲学カフェが仕事に与えるメリットを整理してみると以下のものがあげられます
- 様々な考え方に触れるため、物事を多面的に見られるようになる
- 普段から仲間内で問いを立てて思考を深めているので、言動や行動に説得力を持たせられる
- ネットやニュースなどで得た知識や情報を鵜呑みにしなくなる
- 自分の経験に即して語り合うため、参加者との距離が縮まる
- 実はあいまいだった概念・理念の中から意味を見出すことができる
- 様々な考えの人を尊重するダイバーシティの態度が身につく
1.~3.は、職場の中で意思決定を行うときに関するものです
1つの意思決定を行う際には、様々な意見を集めてオープンに議論をすることが必要です
製造業であれば、研究、開発、製造、販売、技術、スタッフと様々な役割の人が会社の中にいます
それぞれの立場の考え方に触れて、ものごとを多面的に見ることで、見えなかったものが見えるようになります
その中で、新たな「問い」を立て続けることで、意思決定に至った理由に説得力をつけることができます
問いを立てる姿勢は、ネットやニュースなどで流れている知識や情報を鵜呑みにしなくなり、独自の視点を生み出すことにつながります
私がかかわった組織風土改革では、この記事で書かれている通り「異なる意見がオープンに議論されている」という従業員意識調査のポイントが一向に改善されません
この哲学カフェを職場の中で習慣化することで、その改善が見込めそうです
4.は、チームの一体感づくりに使えます
ネットや本で得た知識ではなく、自分の体験に基づいた語りとなるので、それを聴く人は語り手に親近感を持つことができます
「だから、いつも〇〇なんだね」といった気づきが得られるように、語り手の思いに触れるので、その人の行動に納得感を得ることができます
こちらの記事で、哲学カフェを教育関係者の仲間と行ったことを紹介しましたが、「気づきとは何か」というテーマで話し合った結果、「気づき」の持つ意味を編み出すことができました
これは、5.にかかわることです
実は、あいまいだった概念について哲学的思考を重ねることで、概念の中から意味を見出すことができるのです
会社の中には経営理念がありますが、哲学カフェの中で経営理念に関する対話を行うことで、普段の仕事の意味の再発見があり、未来に向けたベクトルを合わせることができるかもしれません
6.は、これからの組織風土として大切なものです
様々な考えを持つ人の声を聴く機会を重ねることで、多様性を大切にする態度が身につくようになります
次回は、哲学カフェが個人にもたらすメリットについてお話しします(つづく)