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この幾何学的な景色は何だと思いますか?
デンマークのブロンディという街にあるコロニヘーヴという集合住宅です
ここでは、コロニヘーヴという住まいの形が人々の暮らしにもたらす変化について考えてみます
コロニヘーヴとは
コロニヘーヴとは、集落や集合体を意味するコロニーと庭を意味するヘーヴから成る言葉です
円形の土地を中心から放射状に区切り、細長いおうぎ形の土地が所有者に割り当てられます
家屋は円周上に配置されて建てられます
このコロニヘーヴの歴史は古く、18世紀のデンマークで作られました
忙しい日常を忘れて、楽しい週末過ごすために作られた新しい住宅の形です
現在、デンマーク国内には6万をこえるコロニヘーヴがあるそうです
デンマークの文化なのですね
コロニヘーヴのルール
ブロンディにあるコロニヘーヴは1964年に作られました
当時の建築家がコロニヘーヴに幾つかのルールを設けました
生垣の高さは80センチまで、小屋の裏側の生垣の高さは180センチまでです
投機目的とさせないために、3万ユーロ(約4百万円)以上での売却はできません
一年間通して住むことができないので、住宅の代わりとして使うことはできません
このようなルールのコロニヘーヴは、人々の暮らしに何をもたらすのでしょうか
コロニヘーヴがもたらすもの
新たなコミュニティを作る
生垣が低いので、ご近所との交流がしやすくなっています
私はマンションに住んでいますが、隣の人は知っているけどどんな生活をしているかを知らず、同じ場所にいながらも断絶状態にあります
「誰にも干渉されたくない」といった完全なプライベートを好む人にはマンションという暮らしは向いているかもしれませんが、何かの助けが必要となった場合に、この断絶状態が障壁となります
私のマンションのある町内会の会長さんと話す機会があったときのことですが、マンションという隔絶された住まいは役所の防災計画に基づいた批難運営の妨げになるといって苦労話をしてくださったことがありました
コロニヘーヴは住宅の替わりにはできないのですが、生け垣の高さのルールは隣近所とのコミュニケーションを生み、新しいコミュニティの形を作れそうです
そのコミュニティの中から、家族同士の良い巡り合わせが生まれれば、暮らしに幸せをもたらしてくれるかもしれません
「生きている」実感のある暮らしを取り戻す
このコロニヘーヴは家庭菜園に小屋が付いているイメージなので、収穫した野菜などを食べて暮らす生活ができます
「暮らす」とは何かというと、それは「生きる」ことなんですよね
自給自足の暮らしの体験を通して、生きている実感を取り戻すことができそうです
私たちの日常は、なんとなく自分の暮らしが自分事になっていないところがあります
そんな日常から、「生きている」実感のある暮らしを取り戻すことができる・・・そんな空間がコロニヘーヴにあるのかもしれません
日常を楽しむことが生き甲斐につながる
「生きている」実感のある暮らしだけでなく、自分だけの生活様式を作り直すという楽しみが味わえそうです
今はやりのワーケーションもできそうですよね
以下の記事でも話をしましたが、旅行とかレジャーに楽しみを求めるのではなく、日常を自分事に変えて、その中から楽しみを見出す・・・そんな暮らしの方が幸せを感じるようになると思います
さらに、生きるに値する価値を見出せれば、それが生き甲斐に変わります
コロニヘーヴはそんな機会を与えてくれる可能性を秘めています