ハイデガーの人間観
佐伯啓思さんの著書「20世紀とは何だったのか」で紹介されていた哲学者ハイデガーの人間観です
人間は目的を喪失することに耐えられない
働きながら人生を楽しむために必要なことが目的だと、私は思っています
なので私が社内で進める組織風土改革は、社員に自分の目的を定めることを重視します
なので、このハイデガーの人間観には背中を押される気持ちになります
その目的は本来のものか
加えて、以下のハイデガーの指摘をしっかり抑えておく必要があります
佐伯さんの著書より引用します
現代では世界のいっさいの「目的」は失われている
にもかかわらず、それを認めようとせず、手段を目的にしまうこと、そのことこそが今日の深刻なニヒリズムであるとハイデガーはいいます
20世紀とは何だったのか―現代文明論〈下〉「西欧近代」の帰結 (PHP新書)(佐伯啓思)
「人はみなこうしている」と周りの人と同じ手段を取り上げ、それがあたかも自分の目的であるかのように振る舞っているようではいけません
その目的は本来のものではないからです
ニーチェのルサンチマンと同じですね
本当の目的の見つけ方
「本来の」自分のすべきことを怠って、周りに流されていると、いずれ人は不安に陥ります
なぜなら人間は有限の時間の中でしか生きられないからです
このニヒリズム状態にあって、再びよい生き方、人々との社交、生活を律する価値や倫理、それを模索する思想の準拠を探し求める必要があります
自分の存在の在処を探すしかない
20世紀とは何だったのか―現代文明論〈下〉「西欧近代」の帰結 (PHP新書
未来にある死を見据えて、この死に向けて何をするかという決断(ハイデガーはこれを「先駆的覚悟性」と呼びます)を経て、自分の本当の目的を見つけることができます
それが分からないという人は、すでに過ぎ去った出来事の意味をもう一度取り戻し、過去を生かすこと(ハイデガーはこれを「反復」と呼びます)で、本当の目的を見つけるヒントが得られます
ハイデガー流の「本来的な生き方」とは、「反復」→「先駆的覚悟」→「未来の選択」という手順を踏むこととしています
ご興味のある方は佐伯啓思さんの著書「20世紀とは何だったのか」をご覧下さい