アイキャッチ画像:pixabay.com
<これはシリーズ記事です。シリーズ全体はこのページにある「本シリーズの記事一覧」をご覧下さい。>
これまでは、産業・組織の心理学の知識として、組織が持つ価値観についてお話ししてきました
ここではダイバーシティに関する知識を挙げ、その知識が組織風土改革に必要な理由についてご説明します
組織人間からダイバーシティへ(つづき)
多様性
前回は、組織が特定の価値観を偏りすぎて他の価値観を寄せ付けなくなり、そのことが経営課題として表面化してしまう組織風土上の問題についてお話ししました
その一例として、売上至上主義が過ぎると、経営トップらによる目標必達のプレッシャー、上司の意向に逆らうことができない組織風土が作り上げられ、社員による不正会計問題といったコンプライアンス上の経営課題を生まれることを挙げました
「長い物には巻かれろ」
「郷に入っては郷に従う」
といったことわざにあるように、組織に入るものはその組織の色に染まることをよしとするような処世術があります
このように日本人は組織のもつ価値観に染まりやすい環境にあります
極端な言い方かもしれませんが、これは「これでいいのだろうか?」という問いを立てない、思考停止の状態を示します
組織に隷属した組織人間を作りがちである環境にあることを抑えておかなければなりません
よって、「考えの違う人に寛容である」、「異なる価値観を受け入れる」といった行為を意識的に行わないと、冒頭で申し上げたような経営課題を引き起こしてしまうでしょう
このようなダイバーシティの考え方は、組織を暴走させない安全弁として機能するのです
危険を前もって防ぐのに役立つのです
また、経済活動の原動力となる革新を求めて、どの企業も組織の中にイノベーションを起こそうとします
しかし、人は慣れ親しんだ環境下で物事を判断してしまいがちなので、イノベーションを起こすには疑うべき常識や前提条件を特定することが肝になります
この疑うべき常識や前提条件を特定するのに役立つのが、「考えの違う人に寛容である」、「異なる価値観を受け入れる」といったダイバーシティの考え方でしょう
ダイバーシティは価値創造のゆりかごにもなるのです
ここまでで、風土改革に必要な知識として産業・組織の心理学のお話をしてきましたが、次回はモチベーション理論についてお話しします(つづく)