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前回にひきつづき、コミュニケーション理論の知識が組織風土改革に必要な理由についてご説明します

1 on 1ミーティング

1 on 1ミーティングは、色々なところでその手法が語られています

あるネット記事(「上司と部下、「コミュ力」アップの特効薬 最新理論で解明」日経ビジネス)では、1 on 1ミーティングに臨む上司の態度として「職場の全てをコントロールし、成果に繋げるのが上司の役割で責任だ」と考えるより、「大きな価値を生み出すためには部下全員の力が必要である」と考えて臨んだ方が良いという助言が書かれています

いわゆるサーバント・リーダシップの勧めですね

しかし、上司と部下の関係は様々なものがあり、上記のようにサーバント・リーダーシップが適合する場合もあれば、支配型リーダシップの方が適合する場合もあると思います

なので、一律に「サーバント・リーダーシップで望むのが良い」が必ずしも効果を与えるとも限りません

私の考える1 on 1ミーティングは、上司と部下との間に新しい関係を作り、その関係の中で共に成長することを目指すのがお互いにとってメリットのある活動になると思っています

そのきっかけに「自分には知らないことがあるんだ」と認め、知る努力として、部下と向き合って傾聴し、上司と部下がお互いに『知らないもの』を『知ること』に変えることで、部下と間に新しい関係を作り、部下だけでなく、上司も成長できるような場にするのが、1 on 1ミーティングだと思います

そこで認められた新しい関係から、支配型リーダシップを取るのが良いのか、サーバント・リーダーシップを取るのが良いのかを考えるのがよいでしょう

その新しい関係の中で、双方のモチベーションを上げるきっかけに繋がることできるのが望ましいと思います

私の考え方は、個人の成長・教育、対人関係の改善、組織開発などを目的とした心理学的手法のグループ・アプローチの考え方に基づきます

このグループ・アプローチでは、集団の機能、過程、力動などの相互影響作用を応用し、メンバー各人の気づきによって、自他への信頼、自律、自己実現、関係改善、組織開発などの促進を図るものです

1 on 1ミーティングは、部下の成長を目的に据えているのが大勢ですが、グループ・アプローチの考え方に即して実施すると、上司と部下の信頼関係の構築、自律的な行動への転換、モチベーション向上につなげることができます

1 on 1ミーティングはいつまで持て囃されるかわかりませんが、このような新しい手法であっても、グループ・アプローチのように学術的に確立された手法の裏付けを持って、職場に適用することで組織風土改革の活動に活用することができます

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