この記事は、素人が日曜大工気分で自転車をオーバーホールした記録をシリーズにしたものです

オーバーホールした自転車は11年前に購入したクロスバイクGIANT ESCAPE R3です

これまでの記録はこちらをご覧下さい

(お願い)
ここで書かれている内容はメンテナンスの素人の作業記録であり、この内容について当方では一切の責任を負いません
この内容を元にメンテナンスやカスタマイズを行う際は、あくまでも作業者個人の責任において実施して下さい

必要工具の調達(3)

これまでの自転車整備はヘックスレンチを使って部品の取り外し、組付けをおこなっていました

トルク管理は特にやらず、適当にネジを締めていました

しかし、今回のメンテナンスでは、スプロケット、クランクなど駆動系の部品を組付け直すことになるので、万が一のことを考えると適当にトルクを与えるのはよくないと思いました

駆動系の部品は走行中に何かがあったら致命的ですからね

また、これまでにない強いトルクが必要となるので、目分量の締め付けはダメかなと思いました

そこで、今回はトルクレンチを購入しようと思いました

トルクレンチの要件

機械のメンテナンス経験のない私はトルクレンチを使ったことがありません

どういう仕組みで動くのかもよく分からないので、まずトルクレンチとはどういうものかを調べてみました

参考にしたWebページは以下です

(参考)[トルクレンチ] トルクレンチの選び方 – 工具 – CBN Bike Product Review

(参考)ロードバイクの締め付けトルク管理 トルクレンチ選び : えふえふぶろぐ

ここで分かることは、以下のようなことでした

  • 自転車のメンテで使われるトルクは3-10Nmと30-45Nmのレンジである
  • トルクレンチは次第に精度が狂い、校正を要すること
  • プリセットタイプはスプリングを用いているので、使用環境や扱い方によってはあっさりと精度が狂ってしまうこと
  • ビームタイプは金属軸のたわみ量を読み取ってトルク値に換算しており、長期にわたって使用しても測定精度が狂いにくい

「使われるトルクは3-10Nmと30-45Nmのレンジである」とありますが、パーツの組付けにはどのくらいのトルクが必要なのかを知らないので、それを調べてみました

(参考)ロードバイクの締め付けトルク管理 トルクレンチ選び : えふえふぶろぐ

(参考)自転車用トルクレンチでメンテナンス!トルクレンチの選び方とおすすめ | No Fun No Life

下表にパーツの組付けに必要なトルク値(シマノ製品)をあげました

パーツによって様々なトルク値が必要になることは分かりますが、求められるトルク値には幅があるので、必要最低限のトルク値に絞り込めるのではないかと考えてみました

すると、その代表的なトルク値は、6,10,15,40,50に絞られることが分かりました

しかも20種類のパーツのうち、半数以上である11種類は6Nmでまかなえることが分かりました

なお、ハブロックナットとペダルシャフトは専用工具を使い、ESCAPE R3のシートポストのクランク部はレーバーで締めるので、トルクレンチは使用できません

これらのパーツはトルクレンチの適用範囲外としました

パーツトルク値(シマノ)代表的なトルク値購入するトルクレンチ組付け工具
ブレーキレバー固定ボルト6~86低トルク用4mm HEX
ブレーキケーブル固定ボルト6~86低トルク用5mm HEX
ブレーキ固定ナット8~1010高トルク用5mm HEX
ブレーキシュー固定ボルト5~76低トルク用5mm HEX
リアディレイラー固定ボルト8~1010高トルク用5mm HEX
リアシフトケーブル固定ボルト6~76低トルク用5mm HEX
フロントディレイラーバンド止め5~76低トルク用5mm HEX
フロントディレイラー直付け5~76低トルク用n/a
フロントシフトケーブル固定ボルト6~76低トルク用5mm HEX
BBカップ35~50(ESCAPE R3は50~70)50高トルク用BBリムーバー
クランク固定ボルト12~14(ESCAPE R3は30~50)40高トルク用8mm HEX
チェーンリングボルト12~1615高トルク用5mm HEX
スプロケットロックリング30~5040高トルク用フリーホイールリムーバー
ハブロックナット15~17n/an/aハブコーンスパナ
ペダルシャフト35~55n/an/aペダルレンチ
ペダルクリート5~66低トルク用n/a
ハンドルバーステムクランプ部5~86低トルク用5mm HEX
ステム、コラム部5~86低トルク用5mm HEX
サドル、シートポスト台座8~2015高トルク用6mm HEX
シートポスト、クランプ部4~8n/an/an/a

そこで、購入するトルクレンチは、高トルク用と低トルク用の2種類とすることに決めました

低トルク用は使用頻度が高く、6Nmでほとんどをまかなうことがわかったので6Nm固定のトルクレンチに決めました

高トルク用は40Nm中心の可変のものとし、10〜15Nmのパーツもまかなうことにしました

トルクレンチ(高トルク用)

高トルク用のトルクレンチは40Nm近くのトルクが必要なので、本体が長いものを選ぶことにしました

この方がてこの原理で楽に操作できるからです

私は素人なので、購入後に販売店で校正するつもりはありません

なので、精度の狂いにくいフラット型のトルクレンチにします

良く使う40Nmが中心となる可変式のフラット型トルクレンチです

フラット型のトルクレンチは品揃えがあまりなく、素人が購入できそうなのはアストロプロダクツのものとなります

AP 3/8DR プレート型トルクレンチ 0-90N・m【プレート形式トルクレンチ】【自転車 バイク オーバーホール】【エンジン】【アストロプロダクツ】

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感想(15件)

届いたトルクレンチはこういうものです

このトルクレンチは90Nmまで測れるものです

10〜15Nmの範囲でも使えます

この範囲はブレーキとリアディレイラーの固定に使います

アストロプロダクツのトルクレンチは差込角が9.5mm(3/8″)であり、一方のブレーキとリアディレイラーの固定には5mmのヘックスレンチを使うので、以下のヘキサゴンソケットを購入しました

トルクレンチに接続してみます

私が購入したツールキットでは、フリーホイールリムーバーとBB取り付け工具は差込角が12.7mm(1/2″)なので、アストロプロダクツのトルクレンチの直接繋ぐことができません

なので、以下のソケットアダプターセットを購入しました

実際に使うのは凹9.5mm×凸12.7mmを取り出してみました

トルクレンチとフリーホイールリムーバーとの間につなぎます

実際に接続してみました

ところで、このトルクレンチの黒いハンドルはサポート(金属軸)に固定されておらず、以下の動画のようにゆらゆらと動きます

これには意味があり、下図が示すようにサポートがハンドルに触れないようにトルクをかけるのが正しい使い方なのだそうです

プレート型トルクレンチの使い方
(出典)プレート型トルクレンチ取扱説明書(TONE)

これにはコツがあって、中心(ピン)にしっかり中指をかけて、じんわりとトルクをかけるのだそうです

きっとこの方が正しいトルク値を測ることができるのでしょう

トルクレンチ(低トルク用)

低トルク用で使うトルクレンチは6Nm固定で使うことを想定しています

上記のようにトルクレンチの要件を決める前は、グランジのコンパクトトルクレンチのようにケースに入って豊富なビットが付属しているものを当初は考えていました

扱うトルクの範囲が広いですし、このタイプのものには多くのメーカーがあります

これをひとつ買っておけば、なんとかなるかな?という安易な考え方です

しかし、

  • 上記の要件で示したとおり6Nmで使うのが大半であること
  • ハンドル回り狭い場所で長さ20センチ程のレンチは取り回しが悪いこと
  • 結構な頻度で使うことになるのに、いちいち箱から空けるのが面倒なこと

を考えると、「固定トルクのT型のトルクレンチが使い勝手が良い」という気持ちに大きく傾きました

そこで、T型のトルクレンチを色々と調べました

BBBのBTL-119は値段も安くてよいと思ったのですが、付属するビットが本体に内蔵できないのが良くないと思いました

パークツールのトルクレンチは、付属するビットを本体に内蔵できることができますが、値段がBBBの倍以上します

ペドロスのトルクレンチは、工具の精度にもこだわっているようで、出荷時に誤差±1%以下に補正、しかも5回のトルク補正結果を表示したカードが同梱するという信頼性にこだわりがあるメーカーで好感が持てます

結局、私は以下の理由から国産の野口商会のトルクレンチにしました

  • 値段がBBB並に安い
  • パークツールと形状が似ており使い勝手がよさそう
  • ビットが内蔵できる

精度に関してですが、Amazonの商品説明に「携帯用工具のためトルク測定値は簡易的な計測となります」と書かれており、少々不安が残ります

精度重視の方は、ペドロスの方がよいかもしれません

なお、野口商会のトルクレンチは4,5,6Nmの範囲で使えます

ハンドルバーをクランプしておくステムのボルトを対角で締めるときに、「4→5→6Nmと段階的に締める」といった使い方もできそうです

野口商会に問い合わせましたが、逆回し(反時計回り)の使用は不可なので、パーツの取り外しはヘックスレンチを使用することになります

私の使い方では、5m/mのビットを差しっぱなしになると思います

選定してみて

以上、今回の必要工具の調達はトルクレンチでした

時間をかけて色々と調べた結果、トルクレンチのことがよく分かりましたし、今後のメンテナンス作業のイメージを湧かせることができました

Amazon’s Choiceにあるプリセットタイプのトルクレンチを安易に買っていたら、満足のいく作業ができなかったと思います

また、ブログのPV数を増やして広告収入を稼ごうとしている、まとめ記事的な素人ユーザーのブログも散見され、気をつけないとミスリードされそうなものもあります

一方で、「ううん、これは凄い」というような納得させられる記事も中にはあり、今回はそのような記事から色々と学ぶことができました